「おかえりモネ」 気象予報士の斉田さんが語る、主人公との共通点
NHKの連続テレビ小説「おかえりモネ」(月~金 朝8時)は、主人公が気象予報士。そのドラマの天気に関する描写や設定を、本物の気象キャスター、斉田季実治さん(45)が監修しています。普段出演しているのは平日午後9時台の「ニュースウォッチ9」。脚本を読んだ時「私がモデルなのでは?」と思うほど、自分に似ていると感じた登場人物がいるそうです。
2年ほど前、NHKのドラマ制作関係者から「気象予報士が主人公のドラマを作りたいので、取材させて欲しい」と、私に依頼がありました。ドラマに描かれている通り、気象予報士はテレビ局の所属ではないので「取材」なんです。脚本家の安達奈緒子さんと制作陣からインタビューを受け、その後、ドラマの「気象考証」の依頼も受けました。単発の作品かと思っていたのですが、途中で「朝ドラ」と分かって驚きました。
――「気象考証」とは?
ドラマ自体はもちろんフィクションですが、現実味のない描き方では説得力が薄れてしまう。「うそ」があると、見る人にも伝わってしまうものです。「その季節に、その地域で、そのような天候になることはあり得ない」「その頃の気象業界では、この範囲の精度で予測が可能だった」……などと設定をチェックしたり、ドラマで使われている天気図、レーダーなどを監修したりもします。
ドラマにもある通り、気象予報の世界もこの10年間で、予報の精度、観測の技術、伝え方、伝わり方、どれも大きく変化、進歩しています。
台風や洪水、土砂災害など、実際に過去に起きた災害をもとに設定を考えることもあります。注意喚起につながって欲しいと願う半面、実際に被害に遭われた方々のことを思うと、リアルに描いてよいのだろうかという複雑な思いもあります。
――この10年間の変化で、分かりやすい事例はありますか。
テレビなどのマスメディアから得ていた気象情報を、スマホなどからでも常時、誰でも受け取ることができるようになり、インターネット上でも日々の話題の一つとして共有されるようになりました。たとえば8月の豪雨をもたらした「線状降水帯」は、以前から毎年の流行語の候補にも挙がっていた言葉ですが、本格的に認知されるようになったのは今年からでした。「計画運休」についても、数年前に始まった当初は「被害が少なくて済むかもしれないのに、鉄道会社が電車を止めていいのか」という疑問の声もありましたが、予報の正確さが上がってきたこともあって、最近は定着化してきているように感じます。温暖化による気候変動、SDGs(持続可能な開発目標)への関心も高まっています。
――NHKの災害報道も「命を守る行動をとって下さい」「数十年に一度の大雨が迫っています」などと強い語調で呼びかけるようになっていますよね。ところで斉田さんが受けたインタビューは、どう作品に反映されていましたか。
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