「破産者マップ」で氏名や住所公開 2人がサイト運営者を提訴
破産者の情報を地図上に示した無料ウェブサイト「破産者マップ」でプライバシーと名誉を侵害されたとして、氏名や住所を掲載された2人がサイト運営者に計22万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。「ネットの地図上で可視化するのは公益性がまったくない」と訴えている。24日に第一回口頭弁論があり、運営者は請求を棄却するよう求めた。
訴状によると、サイトは2018年12月から、少なくとも過去3年間に官報に掲載された破産した人などについて、氏名や住所などをグーグルマップに表示した。検索機能もあった。
弁護団「興味本位の公開、看過できない」
原告側は、破産について、債務で身動きがとれなくなってしまった人が「法的に再出発できる制度」と説明。そのうえで、破産した人の大半が消費者金融や住宅ローンなどの借り入れを返済できなくなった個人と指摘し、「事業者の破産情報は取引先の関心事の余地があるが、非事業者(個人)の場合は公益目的がない」と訴えた。
原告の一人は、裁判所に提出した陳述書で「破産した人だと後ろ指をさされているようで恐怖を感じる」と述べた。
政府の個人情報保護委員会は19年3月、個人情報保護法上問題があるとして破産者マップの運営側を行政指導し、サイトは同月に閉鎖された。
原告側弁護団は24日の会見で、「興味本位で破産情報を公開することは看過できない」と語った。(村上友里)
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