二刀流・大谷翔平、米ファン「ルースとは比較できない」 でも敬意

会員記事

聞き手・石川雅彦
[PR]

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手(27)の二刀流で大いに盛り上がった今年の大リーグ。レギュラーシーズンも残りわずか、大谷選手には日本人初の本塁打王だけでなく、「野球の神様」ベーブ・ルース(1895~1948)以来の「ダブルダブル」(投手で10勝以上、打者で10本塁打以上)、そして未到の「10勝、50本塁打」の期待がかかっています。

 朝日新聞の読者投稿欄「声」で、「大リーガー大谷」を特集(9月8日)した際、コメントをいただいた大リーグ評論家の福島良一さん(64)は、コロナ禍の中、検疫などの関門を乗り越えて米国を訪問し、現地を取材しています。大谷選手に対する米国のファンの思いや街の様子について、福島さんに話を聞きました。

 ――ベーブ・ルースの命日である8月16日、ニューヨークのヤンキースタジアムで、大谷選手の試合を観戦されたんですね。

 いやはや、感動ものでした。ルースの絶大なる人気で建設費をひねり出したと言われる旧スタジアムは「ルースが建てた家」と呼ばれていました。松井秀喜さんがヤンキースでの現役最終年を迎えた2009年に建て替えられた新ヤンキースタジアムのファンは、全米で最も熱狂的で目が肥えていると言われています。地元びいきで、相手チームの選手を応援するなど考えられません。でも、そんなある面では皮肉家のニューヨークのファンも、大谷選手を大きな拍手と歓声で迎えていました。「ひとつ、ルース以来の二刀流とやらを見せてもらおうか」という感じで、大谷選手が打席に立つと、実に真剣なまなざしで見つめていました。

 ――大谷選手の何がニューヨークのファンを引きつけるのでしょうか。

 私が思うに、とんでもない偉業に果敢に挑戦している大谷選手への尊敬というか敬意の念でしょうか。例えば、投手で言えば、先発、中継ぎ、抑え、さらに左右の打者に対するピンポイント起用など、野球の世界は年々分業化が進んでいます。ましてや近年の大リーグで投打の兼業なんて考えられない。その中で、ルース以来、100年以上ぶりに「本塁打トップで先発」、オールスター戦に史上初の二刀流で出場……。未知の世界に踏み出して記録を伸ばし続ける姿に、「世界でニューヨーク・ヤンキース以上のチームはない」と豪語するニューヨークのファンも喝采を送らざるを得ないという雰囲気でした。

 ――ルースが「2ケタ本塁打、2ケタ勝利」を達成したのは1918年ですね。

 そう、1918年、103年前、ヤンキースに移籍する前のレッドソックス時代です。投手で13勝、打者で11本塁打。翌19年は9勝、29本塁打。ルースの時代は「飛ばないボール」の時代だから本塁打数は単純に比べられませんが、100年以上、そんな選手が出てこなかったということは、大谷選手の偉大さを証明しているでしょう。

 ――ルースとの比較について、米国のファンはどう思っているのでしょうか。

 大谷選手が出場している試合…

この記事は会員記事です。残り1031文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。

【締め切り迫る!】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら