香港民主化運動、伝える映画続々 現地上映困難でもカンヌで、日本で

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編集委員・吉岡桂子佐藤美鈴
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 香港の民主化運動を記録した映画が相次いで作られている。自由を求める動きを警戒する中国政府の意向を受けて、香港当局は映画の検閲も強める。現地での上映は見込めないなか、今夏のカンヌ国際映画祭ではサプライズ上映があり、日本では「現状を知ってほしい」と公開が続く。(編集委員・吉岡桂子佐藤美鈴

カンヌ閉幕2日前 「サプライズ」にした理由は

 7月16日、カンヌで特別上映されたのは「時代革命(REVOLUTION OF OUR TIMES)」。撮影は2019年6月から約1年間だ。

 中国当局の締め付けで自由がそぎ落とされていく香港で、警察と衝突しながら抗議したデモの様子を、7人の登場人物を中心に描く。多くの参加者の声も伝えられる。物語は、中国政府の香港国家安全維持法国安法)制定で終わる。

 カンヌ閉幕前日の上映は直前まで伏せられ、2日前に「サプライズドキュメンタリー」として発表された。中国当局からの妨害を懸念してのことだ。

 香港人監督の周冠威(キウィ・チョウ、42)以外、制作スタッフの名前は明かされていない。当局から身を守るためだ。出演者の安全のため、データなど映画の素材はすべて海外に預けているという。

 アジアの「映画の都」でもあった香港だが、近年は巨大市場の中国本土向けの作品が主流になっている。中国政府の圧力と、作り手の自己検閲もあって表現の自由の幅が狭まってきた。

 国安法は国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力と結託して国家の安全に危害を加えることを禁じる。「革命」などのスローガンすら逮捕の理由になる。最高刑は終身刑だ。

 何が罪になるかは、当局の判断しだい。「時代革命」はタイトルそのものが問題視されかねない。カンヌでの上映は「外国勢力」との結託とみなされる可能性もある。

記事の後半では「時代革命」の監督の映画への思いや、香港の民主化を記録したドキュメンタリーを、上映が難しい香港に替わって日本を足がかりに世界へ伝えようとする動きをお伝えします。

「想像を超えて事態は悪化した」

 「何があっても伝えたいと思っている。覚悟はしている」。周監督は朝日新聞の取材に、こう語った。

 「自由や民主、公正さや正義…

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