信号、ジャマイカ、大連立…? 大混戦ドイツ総選挙、連立交渉に注目

ベルリン=野島淳
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 ドイツで約16年間務めたメルケル首相の後任を争う連邦議会選挙(総選挙)が26日、投開票される。世論調査では、中道左派社会民主党(SPD)がわずかな優位を保ったまま最終盤を迎えた。他党も巻き返しを図っており、歴史的な混戦となりそうだ。

 「中庸を維持するか、(左派の)分配だけを考える政策か。日曜日には多くのことがかかっている」

 メルケル氏は21日、長らく地盤だった北東部シュトラールズントで開かれた中道右派キリスト教民主同盟(CDU)の集会で、支持者らにこう訴えた。選挙には出ず引退するが、苦戦中のラシェット党首をあと一押しするためだ。

 各種世論調査で、CDUと姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)を合わせた支持率は21~22%。「左派政権では国の安全は守れない」などとSPDを攻撃してきたが、3~4ポイントの差をつけられており、引退を決め、選挙に出なくても国民的な人気を保つメルケル氏を担ぎ出した。

 SPDは、現役の財務相のショルツ副首相が安定した戦いぶりをみせる。「最低賃金12ユーロ(約1550円)」といった格差是正策のほか、再生可能エネルギーへの転換と産業育成の両立などを主張。環境政党の緑の党を加えた首相候補によるテレビ討論では、攻めるCDUのラシェット党首の質問を落ち着いてさばき、視聴者に好印象を与えて3回とも「勝利」した。

 緑の党はベアボック共同党首の経歴誇張や著作での盗用問題などの影響を受けた支持率の低下が止まり、気候変動問題への関心の高さを支えに回復を狙う。

 これら3党を、市場機能重視の自由民主党(FDP)、右翼のドイツのための選択肢(AfD)、旧東ドイツ共産主義政党の流れをくむ左派党が追う。総選挙後、AfD以外の各党が連立交渉を始める。

 SPDは緑の党と連立する意向だが、過半数に届かなければ、FDPと組むことも模索しそうだ。SPD(赤)、緑の党(緑)、FDP(黄)という各党のシンボルカラーから「信号連立」と呼ばれる。ただ、増税や歳出拡大に否定的なFDPは緑の党との隔たりが大きく、互いに妥協できない可能性がある。

 SPDと緑の党左派党を加えた「左派連立」もあり得る。だが、左派党北大西洋条約機構(NATO)の解体を唱えるなど、特に外交政策で主要政党とは相いれない。

 CDU・CSU(黒)は第2党でも政権維持の芽がある。FDPとは親和性が高く、緑の党を説得できれば「ジャマイカ連立」ができる。「黒緑黄」の組み合わせがカリブ海の島国ジャマイカの国旗の色に近いことから名づけられたが、やはり緑の党とFDPの妥協が不可欠だ。

 どれも行き詰まれば、最終的に現状のメルケル政権と同じ、CDU・CSUとSPDの2大政党による「大連立」もあり得る。(ベルリン=野島淳