空港で出産・殺害、実刑判決の母親が訴えた「境界知能」とは?

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新屋絵理
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 羽田空港のトイレで出産したばかりの女児を殺害したなどとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた母親の北井小由里被告(24)=神戸市=の裁判員裁判で、東京地裁(野原俊郎裁判長)は24日、懲役5年(求刑・懲役7年)の実刑判決を言い渡した。判決は殺害の動機を「自らの将来の障害となる女児をなかったものにするため」と指摘した。

 判決によると、大学生だった北井被告は2019年11月、就職活動で上京した際に羽田空港のトイレで出産。直後にトイレットペーパーを女児の口に詰め首を絞めて殺害し、東京都内の公園に埋めた。出産予定日は約1カ月後だった。

 判決は、北井被告が事件翌日に就職面接を予定通り受けたことなどから、「就職活動への影響を避けるために殺害した」と認定。事件は突発的としつつも「強い殺意に基づく執拗(しつよう)かつむごたらしい犯行だ」と述べた。

妊娠の相談せず頑張った就活、だけどエントリーシートに空欄

 弁護側は公判で、北井被告が知的障害ではないものの知的能力がやや低い「境界知能」であることが事件の背景にあると説明した。さらに、同居する両親に妊娠を隠した経緯をふまえ、親に叱責(しっせき)されて育った家庭環境も情状として考慮すべきだと訴えた。

 「境界知能」は知能指数(IQ)が70~85未満とされ、70未満が目安とされる「知的障害」には当たらないグレーゾーンだ。公判前の検査で、北井被告のIQは74で境界知能だと判断された。

 弁護側の被告人質問では、北井被告が小学生のころから授業についていけず、就職活動で企業に提出するエントリーシートの質問の意味がわからず空欄が目立ったことなどが明かされた。証人として出廷した母(55)は、こうした状況に気づかず幼い頃から叱責を繰り返したと打ち明け、「苦しい気持ちを何一つわかっていなかった」と泣きながら証言した。

 北井被告は、両親がこれまでになく喜んで就活を応援してくれたため「関係が崩れるのが怖い」と思い、妊娠を相談できなかったと説明した。弁護側は最終弁論で「被告には、エントリーシートを埋めるようアドバイスをする人もいなかった。事件についても、相談できる人がいれば起きなかった」と主張した。

 しかし判決は、北井被告の知的能力は「低いとはいえ正常範囲内で大きな問題はない」と述べ、母親の叱責も「妊娠を相談するのに支障はなかった」と判断した。

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