商社から転職の28歳、まさかの挑戦 岐阜・白川郷伝統の豆腐づくり

山下周平
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 世界文化遺産白川郷岐阜県白川村)の伝統食材「石豆腐」の製造所「深山豆富(とうふ)店」に後継者ができ、リニューアルオープンした。今年3月に一度閉店したが、飛驒市のネット企業が事業を引き継ぐことになった。今後はネット通販も始め、白川郷の味を全国に発信する。

 今月10日、約半年ぶりに深山豆富店が営業を始めると、地域住民ら約20人が訪れ、縄で縛っても崩れない「石豆富」を買い求めていた。店を17年ほど前に創業した大野誠信(せいしん)さん(74)は「石豆富を次の世代に継承することができ、本当にうれしい」と喜んだ。

 白川郷や同じ合掌造り集落の五箇山(富山県)周辺では、硬めの豆腐を食べる文化がある。大野さんは伝統の食文化を守ろうと、運送業のかたわら店を開いた。しかし大野さんも年を重ね、コロナ禍で村を訪れる観光客が激減したことから閉店を決断。すると、地域住民から閉店を惜しむ声が寄せられた。

 大野さんは、村のふるさと納税の業務を請け負うヒダカラに事業を継いでくれないかと相談した。ヒダカラは伝統の灯は消せないと、継承を決めたという。

 豆腐製造は、今年6月に総合商社を辞め、ヒダカラに転職した古田智也さん(28)=高山市出身=が担うことに。豆腐づくりの経験はなく、大野さんから製造方法を学んだ。国産大豆と白川郷の水を使い、その日の天気や気温に合わせた微妙な水加減などの指導を受けた。

 古田さんは、今後も店のそばに住む大野さんの指導を仰ぎながら腕を磨く。「入社前には想像もしていなかったが、豆腐づくりは奥が深くておもしろい。村の人に認めてもらえる石豆富をつくりたい」と意気込んでいる。

 1丁388円(10月末までは300円)。土日を中心に店頭販売。ヒダカラは店のリニューアルを計画していて、クラウドファンディングhttps://camp-fire.jp/projects/view/486829?list=search_result_projects_popular別ウインドウで開きます)で資金を募っているほか、石豆富の販売もある。問い合わせはヒダカラ(0577・54・1800)。(山下周平)