暗号資産の全面禁止、中国当局を動かした「思想」 専門家はこうみる

聞き手・稲垣千駿
[PR]

 中国人民銀行が24日、暗号資産(仮想通貨)に関わるサービスを全面的に禁止すると発表した。その直後からビットコインやイーサリアムなどが軒並み10%前後も急落し、市場には動揺が広がっている。今後、どういった影響が予想されるのか。マネックス仮想通貨研究所の大槻奈那所長に話を聞いた。

 ――今回の規制強化をどのように受け止めますか。

 「相当広く網をかけるように聞こえ、中国での投資活動は不透明になるのではないか。ただ、中国は政府が5月に採掘(マイニング)を禁止する方針を示すなど、暗号資産への規制を強化してきた。来年にデジタル人民元の発行を控えていることもあるが、一番大きいのは『共同富裕』の考え方。投資をすることで富裕層がますますお金を得て、一生懸命働いている人との差が開けば、この考え方に反する。最近は同じく不動産業界でも相当厳しいルールをつくっており、国内での取引やマイニングが自由にできなくなることはある程度織り込み済みだったと言える」

 ――発表を受け、暗号資産は軒並み急落しました。

 「人民元から代表的な暗号資産であるビットコインへの流入額は少なく、影響は限定的とみている。また、新型コロナ下では大規模な金融緩和で余った資金が暗号資産市場にも流入した。米国を中心に機関投資家の大口取引が多くなっており、これも幸いして市場に壊滅的な影響は与えないと考えている」

 ――今後の懸念は。

 「中国は今のところ暗号資産で国際的な主導権(イニシアチブ)をとる国ではないので、市場の動揺も限定的だ。最も注目すべきは、中国の規制の考え方がほかの国にも受け入れられるかどうかだ。例えば、欧州は環境問題など世界的な規制のイニシアチブをとるのがうまいと言われている。こうした国、地域で規制の動きが出始めたら大きなインパクトになるだろう」(聞き手・稲垣千駿)