新旧横綱の土俵入り対決はここが見どころ 楽しみ広がる来場所

竹園隆浩
雲竜型、不知火型の起源とは
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 新横綱照ノ富士が誕生した大相撲秋場所。所属部屋で新型コロナの感染者が出たため全休している白鵬との新旧横綱対戦は、11月の本場所以降に持ち越された。併せて繰り延べになったのが、土俵入り対決だ。

 2人の横綱が披露する土俵入りはともに、不知火型だ。土俵入りの見せ場である「せりあがり」の時に両手をそれぞれ斜め前方に伸ばして、右も左も攻めるという「攻め重視」の姿勢が体現される。過去の横綱には、3代目若乃花、双羽黒、日馬富士らがいる。昔は短命と言われたが、白鵬が出てきて、その通説は覆された。照ノ富士も、師匠(元横綱旭富士)にならって、この型を選んだ。

 土俵入りの型はほかに、「攻防兼備」の型とされる雲竜型がある。せり上がりの時に攻撃を表す右手を斜め前方に伸ばし、左手は守りとして脇を締めて胸に当てる。千代の富士、貴乃花朝青龍稀勢の里らが選んだ。

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意外と知られていない、横綱土俵入りについて解説します。(制作:朝日新聞デザイン部)

 同じ不知火型を選択した現役2人だが、所作にはかなりの違いがあるようだ。

 一般的なのは新横綱照ノ富士の方。192センチ、184キロの巨体をいかして両手を大きく広げ、豪快に務める。ただし、シコを踏む前に、上げる足と反対側の手を伸ばし、同じ側の手を胸に当てるが、元横綱大乃国の芝田山親方は、「胸の手の脇が空いている。守りを表すのだから締めるべき」と指摘する。

 先輩横綱の白鵬照ノ富士より、動作が速い感じがあり、様々に物申されている。かしわ手を打つ時に両手をぴったり合わせるのではなく、手拍子のように片方の指先で反対の手の腹をたたくようにずれるとか、シコの前に手の動作をしないとか、土俵下から俵の中に入る時と出る時に足が俵にかかって見える、などだ。せりあがりの際に最初は左ひじを足に乗せていることや、曲げている両ひじをピョンと伸ばすところなども独特だ。

 そんな白鵬の土俵入りに、生前の北の湖理事長(元横綱)は、「(土俵入りに)決まりはない。それぞれが自分の型を作るもの」と言っていた。一方、元横綱の故・大鵬親方は「ルールはないが、作法は必要」とする派だった。「かかとを俵に乗せるのは勝負の時だけ。相撲を取っている時以外で乗せるものではない。明文化されてはいないが、それが作法だ」と話していた。

 戦前、戦後に活躍した照国は色白で、力が入ると肌が桜色に紅潮することから、横綱土俵入りは「動く錦絵」と呼ばれた。マムシの異名もあった名人横綱栃錦は、「見せ場のせりあがりで一呼吸置く。ここで写真を撮るファンには写真を撮ってもらう」と土俵入りのコツを説明したそうだ。

 それぞれが作り上げていく横綱土俵入り。来場所はじっくり、新旧2人の個性を堪能したい。(竹園隆浩)