「まちなかシルクロード構想」 和歌山で試み

和歌山大学経済学部教授・足立基浩
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 今年8月、和歌山市内で興味深い試みがスタートした。中心市街地の各商店街がつながる組織をつくって、環境に配慮しながら活性化を図ろうという取り組みである。その名も和歌山まちなかシルクロード構想。かつて東洋と西洋をつないで1千年以上続いた交通路「シルクロード」の名がつけられた。

 思えば和歌山市内にはいくつかの商業拠点があるものの、それらが十分につながっていなかった。JR和歌山駅周辺には百貨店やみその商店街があり、和歌山城の方面に向かって歩くと繁華街の「アロチ地区」がある。ここを通り抜けると、その先に「ぶらくり丁商店街区域」があり、さらに北西へと進むと、和歌山市駅周辺の商店街区がある。市駅前は最近「キーノ和歌山」として再開発され、商業施設に図書館などが併設されており、利用者も多い。

 これら「点」としてのにぎわいを、「面」的に広げる必要があろう。昭和の時代は、中心市街地に立地するぶらくり丁には丸正百貨店があり、中心市街地商業の最もにぎわった地域であった。しかし、大型の郊外型商業施設の建設や、モータリゼーションなどの影響もあって、1990年代後半からぶらくり丁を中心とする中心市街地商店街区は衰退をはじめ、その後丸正百貨店も倒産。空き店舗も目立つようになった。

 和歌山市は、郊外化が進展した都市としても全国的に知られているが、一方で長期的に人口密度が低下していて、市街地の空洞化が進んできた。

 空き地が無秩序に開発され、地域がスポット的ににぎわうのではなく、それらが一つの町の顔としてつながりを見せるときに「街」全体の魅力が増し、地価は上昇するはずだ。

 和歌山まちなかシルクロード構想実行委員会では、こうした拠点の商店街などをつなげ、さらに、その重要性が全世界的に叫ばれているSDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)を目標とすることで、環境にやさしく、かつ、持続可能なまちづくり運動にしようと考えている。8月8日に市内の3商店街が手を組んで取り組んだのは、各地で一斉に清掃活動と打ち水をすることだった。

 実行委員会長の野口千惠さんは「まずはゴミ拾いを含めた環境活動など、できることから実践したい」と話す。また、人材の持続可能性の観点から若者に注目し、高校生や大学生らがビジネスのアイデアを競い合う「ビジネスコンテスト」なども企画している。

 現在の若者はいずれ大人になり、また新たな若者にバトンタッチする。こうして市民が若者から大人へ「持続」的にまちにかかわることで、住み続けることのできる持続可能なまちづくりが可能となる。

 全国でも興味深い取り組みとして注目されている、和歌山発の中心市街地を面でとらえたSDGs型の和歌山まちなかシルクロード構想。今後の動きに注目したい。(和歌山大学経済学部教授・足立基浩)