最大級の「猫神様」なぜそこに? 缶詰のお供えも…愛された歴史

三浦英之
【動画】蚕養神社の跡地にある石造りの「猫神様」=三浦英之撮影
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 岩手県一関市花泉町の蚕養神社の跡地に、大正時代に奉納された石造りの「猫神様」がまつられている。高さ約90センチ、横約1メートル、幅約60センチで、専門家は「猫の石像としてはおそらく最大級」と評価する。

 JR花泉駅から南西に1・2キロほど、猫の石像は宝祥寺脇の蚕養神社の跡地に置かれている。

 花泉地区では昭和初期まで養蚕が盛んで、蚕養神社は羽養権現社を前身とし、明治中期に創建されたとみられている。蚕をネズミから守る神様として、石造りの猫がまつられた。

 石像の他にも、蚕養神社には猫の木像や彫刻などがあった。しかし、社殿は東日本大震災の影響もあって2012年に取り壊され、猫の彫刻などは現在、この神社の調査に関わった宮城県村田町の歴史みらい館で保管されている。

 館長の石黒伸一朗さん(63)は「養蚕の神様として猫をまつる神社は他にもあるが、ここまで大きな猫の石像が奉納されていた神社は極めて珍しい。今はペットとして愛されているが、明治や大正の時代にも、多くの人が猫を大事にしていたことがわかる」と説明する。

 今年になって地元紙で猫神様が取り上げられると、神社跡地への来訪者が増えたという。住民らは町おこしにつなげられないかと、入り口に案内板を設置したり、石段を整備したりし始めている。

 地域で猫神様を広める活動を続けている佐藤佐津夫さん(66)は「猫神様を見たいという人が多いので、環境の整備を続けていきたい」と意気込み、市文化財調査委員の山川純一さん(48)は「養蚕が盛んだった頃には、花泉駅から社殿まで参拝の列が続いていたという伝承もある。猫神様を含め、地域の歴史を伝えていきたい」と話している。三浦英之