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行動制限緩和に向けあの手この手 ススキノで国の実証実験期待

新型コロナウイルス

榧場勇太、佐藤亜季、中野龍三
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 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が30日に期限を迎える中、ワクチン接種の普及後をにらんだ行動制限緩和の動きが進みつつある。北海道は24日、感染対策に取り組む飲食店を認証し、時短や酒類提供停止の要請を緩和する「第三者認証制度」の申請受け付けを札幌市で始めた。感染対策と経済活動の両立に向け、企業からも期待の声が上がる。

 第三者認証制度は、北海道が定めた感染対策の項目を満たした飲食店などを第三者が認証する仕組み。店舗の入り口に消毒液を置くなど28項目あり、店の申請後、調査員が現地で確認した上で認証書を交付。道のホームページでも店名を公表する。

 道は対象を道内全域とする予定で、順次、地域を拡大する。鈴木直道知事は24日の道議会で「申請書類に責任者を明示するなど、より効果的に感染対策を実施できるようにした。できるだけ多く申請していただけるようしっかりと取り組んでいく」と述べた。

 第三者認証については、国が9月の基本的対処方針の変更で、「まん延防止等重点措置」の対象地域で飲食店が酒類を提供できる要件にした。11月ごろをめどに始める緊急事態宣言下での制限緩和でも、飲食店が酒類を提供するための要件になる予定だ。

 ただ、国が4月に都道府県に制度の導入検討を要請したが、各地で基準が異なるなどの理由で道内では準備が遅れた。札幌市では9月から道が試行的に申請受け付けを始めたばかりで、現地での確認などが始まるまでには時間や人手がかかる見込みだ。札幌市の秋元克広市長は22日の会見で、「今の状況でいくとなかなか進まず、お店の制限緩和に対する期待に応えられないという状況になりかねない」と述べ、迅速に対応する必要性を指摘した。

 国は10月中に行動制限の緩和に向けた実証実験を行う方向で調整しており、道は17日、国に実験への参加を表明した。実験では、ワクチンの2回接種の証明書やPCR検査などによる陰性証明を示せば、感染対策の取られた飲食店での会食を認め、イベントの収容人数の制限を緩めることなどを想定している。

 西村康稔経済再生相は24日の閣議後の会見で、「すでに13の都道府県から様々な提案や、参加したいという意思表明があり、調整を進めている」と明らかにした。ただ、道によると、参加表明後に、国から対象地域や実施期間の決定の連絡はなく、27日以降になると伝えられたという。

 札幌市は、歓楽街ススキノが実証実験の対象になることに期待を寄せる。実験を今後の市内での行動制限緩和の出発点にしたい考えだ。参加主体は道だが、秋元市長は「市としても積極的に協力していく」。

 札幌市は今後の経済活動再開の支援策として、市内の1千店超の飲食店で利用できるプレミアム付き食事券の販売を計画する。購入額の30%が市の負担で上乗せされる。年明け1月上旬からの利用開始を想定し、早ければ11月ごろから販売の開始をめざす。

 秋元市長は「ワクチン接種が進み、今後は感染拡大抑止策とともに、徐々に経済活動の制限緩和をしていく必要がある」と話す。

 企業などは、行動規制緩和を見据えた取り組みを早くも始めている。

 星野リゾート(長野県軽井沢町)は年内にススキノと小樽に新たなホテルを開く。「ワクチン接種率が高まり、予約が増えるなど状況が変わりつつある。コロナ収束後の国内需要を積極的に開拓する時期にきた」(星野佳路代表)。昨年の政府の観光支援策「Go To トラベル」でホテルの稼働率が改善したことから、ワクチン接種が行き渡る見通しの年末にもGo Toが再開されることを期待。「短期的なコロナの影響にとらわれずに、中長期的な視点でコロナ後の集客体制を整えたい」とする。

 札幌ホテル旅館協同組合などは17日、道内在住者を対象にした「お得を先取り!宿泊前売」の販売を始めた。税込み5千円の前売り券を購入した施設で宿泊料の全額から3千円が割り引かれ、さらに、市内の飲食店などで使える2千円分のクーポンが付く。5千円分得する仕組みだ。

 組合に加盟する市内の111のホテル・旅館で販売しており、すでに1施設で500枚以上売れたところもある。「コロナで大きな打撃を受けた観光需要を早期に回復させたい」(担当者)。販売は10月31日まで。各施設で予定数量に達すれば、販売は終了する。

 飲食店業界も期待する。札幌市中心部でワインバーを経営する男性は「出口戦略の話が始まって、営業再開への兆しが見えてきた」と話す。店は5月から休業。休業中に空気清浄機や入店時の体温を測る機械などを購入し、道が札幌市で試行する認証制度にも申請を済ませた。営業再開後は高級ワインを1杯ずつ格安で提供することも考えている。

 JR北海道は、コロナ収束後も鉄道需要はコロナ前の水準に戻らないとみる。ただ、北海道は旅行先などで休暇を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」の潜在可能性が高いとみて、ワーケーション需要の取り込みに向けた検討を始めている。島田修社長は「ワクチン接種の進み具合とともに、これまでの行動規制対策から社会経済活動再開のための議論が始まっている。人流回復につながることを期待している」と話す。(榧場勇太、佐藤亜季、中野龍三)

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