棒高跳びは「人生そのもの」 41歳で引退の沢野大地

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加藤秀彬
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 「棒一本をかついで世界を転戦する。そうやって強さを身につけてほしい」

 陸上男子棒高跳びの日本記録保持者、沢野大地(41)はこうメッセージを残して現役生活を終えた。

 25日、大阪・ヤンマースタジアム長居で行われた全日本実業団対抗選手権での最後の跳躍。5メートル30の3回目が失敗に終わると、腰に手をあてて苦い表情を浮かべた。自己記録より50センチ以上低いバーを、越えられなかった。そんなレジェンドの姿に、見届けた観客からは大きな拍手がわき起こった。

 40代でめざした東京オリンピック(五輪)シーズンを終え、言った。「41歳まで競技を続けさせてもらえた。感謝の一言です」

 20年以上日本のトップで引っ張ってきた棒高跳びを「沢野大地そのものであり、人生」と表現する。

 日本選手権では日大1年時での初制覇を皮切りに11度優勝した。五輪はアテネ、北京、リオデジャネイロの3大会、世界選手権には7大会に出場した。

 沢野が2005年の静岡国際で出した5メートル83の日本記録は今も破られていない。5メートル80を超えた日本選手すら他にいない。多くの後輩たちが挑戦しても届かない、高い壁だ。

 ただ、当歳24歳で伸び盛りだった沢野にとって、この記録は通過点でしかなかった。

 棒高跳びは最後の1人になると、自分で高さを選ぶことができる。静岡国際で5メートル83を選んだ理由を聞くと、「何センチでもよかったんです」と返ってきた。

 「次は81でも82でも何でも良かった。同じ試合にいた海外の選手の自己記録が5メートル82だったから、83にしただけなんです」

 「まさか15年以上も超えられないなんて考えてもいなかったので。次は、6メートルを跳べると思っていました」

 今思えば、20代は力任せの助走をしていたという。年を重ねた今だから分かるが、足が体の後ろに流れ、効率の悪い走りだった。それでも当時から自分なりのベストは尽くした自負がある。「悔いがないわけではないが、納得はしています」

 6メートルの夢はかなえられ…

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