別荘感覚で「村内移住」も 台風シーズン、土砂災害にどう備えるか

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神元敦司
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 豪雨による土砂災害が今年も各地で頻発している。7月には静岡県熱海市土石流で20人以上が亡くなり、8月は長野、広島、長崎などで犠牲者が出た。台風シーズンを迎えているが、遭遇すれば命が危険にさらされる土砂災害に、どう備えられるのだろうか。(神元敦司)

 紀伊半島の真ん中、奈良県十津川村の山あいに村営住宅「高森のいえ」はある。木造平屋建て5棟は屋根つきの通路でつながり、玄関先にはベンチや菜園も。別荘地のようだ。

 「おはよう」。住人の大谷芙佐子さん(77)は洗濯物を干しに出ると、棟続きに暮らす鎌塚美智子さん(73)に声をかけた。ベンチに座り、お互いの夫を交えて過ごすことも多い。「鎌塚さんがそばにいてくれて心強い。家族のようです」。鎌塚さんもうなずいた。

 2011年9月の紀伊半島大水害では、三重、奈良、和歌山の3県で3千カ所を超える土砂崩落が発生。死者・行方不明者は88人にのぼった。十津川村でも13人が犠牲になった。

自宅残し「村内移住」

 大谷さんと鎌塚さんの自宅は「高森のいえ」から約15キロ先の山の中にある。大水害の時は、集落の道が土砂でふさがれ孤立。4日後にヘリコプターで救出された。

 村は全土の96%が森林だ。災害時を含め不便なところは住民同士の助け合いで補ってきたが、高齢化が進み、そうした暮らし方が難しくなっている。

 村は17年春、土砂災害も水害も起きたことのない場所に3億円を費やして「高森のいえ」を完成させた。公営住宅なので家賃は収入によって異なるが高くはない。長年暮らした土地に強い愛着がある人や引っ越しが不安な高齢者も、これなら自宅を手放すことなく、より気楽に安心な場所へ「村内移住」できる。

 大谷さんらは当初、自宅と半…

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