• アピタル

元愛煙家で禁煙教育に尽力 畑中さんを偲ぶ会

下地達也
[PR]

 和歌山市の小中学校を中心に禁煙教育に尽力し、昨年亡くなった畑中孝之さん(享年76)を「偲(しの)ぶ会」が26日、和歌山市北出島1丁目の県勤労福祉会館プラザホープで開かれた。家族や関係者ら約60人が参加。写真や映像を交えながら、畑中さんの功績をしのんだ。

 畑中さんは1日50本吸っていた元愛煙家。52歳のときに喉頭(こうとう)がんが見つかり、53歳で声帯を切除する手術を受け、声を失った。「自分と同じ思いをする人を1人でも減らしたい」と、専用の器具をのどに当て、自身の体験を語ってきた。

 残された記録によると県内外の500校、延べ5万9千人以上にタバコの害の恐ろしさを身をもって伝えてきた。

 昨年8月19日に亡くなった後、日本禁煙科学会は功績をたたえ、「禁煙教育推進賞・畑中孝之賞」を創設。今月11日に授賞式があった第1回は、畑中さんが所属していた2団体「たばこ問題を考える会・和歌山」、「和歌山禁煙教育ボランティアの会」と、県教育委員会、和歌山市教育委員会が合同で受賞した。

 偲ぶ会では、「ボランティアの会」の西畑昌治代表は「子どもたちの前に立って自分の姿を見せ、禁煙を進めてくれた彼の誠意に負けないよう、禁煙教育を続けていかなければならない」。「考える会」の中川利彦事務局長は「畑中さんの遺志を途絶えさせてはならない。タバコの害や命の大切さ、伝えていきたい」と話した。

 妻の恵美さん(73)は「一生懸命頑張って取り組んでいた姿を思い出します。皆さんに感謝しています」と述べた。

 会場ではこの日、会に先立って禁煙啓発イベント「禁煙フォーラム2021」も開催された。日本禁煙科学会の高橋裕子理事長が、県内の禁煙啓発活動を振り返った後、喫煙が新型コロナウイルス感染症に与える影響などについて、論文やデータを交えながら説明した。(下地達也)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

今すぐ登録(春トクキャンペーン中)ログインする

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

春トク_2カ月間無料