若者は保守化?リベラル化? 総選挙、投票行動の鍵は 鈴木謙介さん

有料会員記事

聞き手・大内悟史
[PR]

 自民党総裁選(9月29日投開票)が連日メディアをにぎわせている。歴代最長を記録した第2次安倍晋三政権と、その路線を継承した菅義偉政権の9年間、人々は政治をどのように見ていたのか。次期首相が臨む衆院総選挙では、新しい投票行動が生まれるのか。若者を取り巻くメディア状況に詳しい社会学者で関西学院大学准教授の鈴木謙介さん(45)に聞いた。

 ――第2次安倍政権の7年8カ月のあとを受けた菅政権は1年と短命でした。

 この20年を振り返れば「聖域なき構造改革」を掲げた小泉純一郎政権(2001年~06年)以降の政権は「既得権」の打破、つまり既存の権力構造を解体せよというスローガンを掲げました。民主党政権(09~12年)も同じ延長線上にあります。既得権やムダなど分かりやすい敵を見つけて徹底的にたたくことで支持を広げました。

 12年以降の安倍前首相は少し違った、というのが私の印象です。コアな支持者や批判者に対しては威勢のいい発言をする一方で、幅広い層に向けてはふんわりとゆるめで柔らかい、いいことだけをパッケージにした言い方にとどめていました。

 分かりやすい敵をたたくのが日常の風景となった構造改革の10年に疲れた私たちは、人が人をたたいたりたたかれたりする姿を見たくないと思うようになっていました。そうした雰囲気をうまくすくい取った安倍政権アベノミクスなどのかけ声を通して「何となくいい感じ」を醸し出しながら政権を担い続けました。

 ――ただ、昨年は安倍政権、今年は菅政権が政権運営に行き詰まりました。

 新型コロナウイルスは、安倍政権の宣伝戦略を踏襲した菅政権のイメージ戦略と相性が悪いどころか、そうした戦略が根本的に通用しない相手でした。人々の外出や経済活動を制限するなど人々に負の影響を与える政策を打ち出す必要があるときに、なぜそうした政策が必要なのかを正面から説明せずに、状況は悪くない、光が見えている……といった口当たりや耳当たりのいい言い方に終始しました。適切な対策を打てずに感染の波が何度も押し寄せ、多くの人がなすすべのない気持ちになり、「従っても意味がない」とすら思うようになりました。

 ――とはいえ、政権批判の声はそれほど大きくなっていないように見えます。

 野党やメディアが安倍・菅政権の失政を批判しても共感が広がらないのは、敵を見つけてたたく手法に世論がうんざりしているからです。ワクチン接種を進めた点を評価する声があるほどで、政府内部の特定の個人を悪者にするような声は高まっていません。

 批判する側、される側の双方を目にする第三者的な人々にとってみれば、見たくないものを見せられている思いがする。特にコロナ禍のもととなった新型ウイルスのリスク自体は前々から存在し、今回の感染拡大も避けられなかった部分がある。ただでさえやり場のない不安や不満を抱えており、これ以上ギスギスした思いを味わいたくない人が批判側を無条件に支持することはありません。

 インタビュー後半では、総選挙の鍵とみなす若者の政治参加意識について論じます。

 ――批判せずに別の選択肢を示す道はありますか。

 与野党ともに政治家やシンク…

この記事は有料会員記事です。残り1855文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら