建設現場の助っ人はロボ 誤差1ミリの職人芸、密避けるのにも一役

矢島大輔
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 ビルの建設現場に、自ら判断して動き、複数の作業をするロボットが登場した。その名も「ロボバディ」。

 業界の職人不足と高齢化の解決を狙って開発され、昨年からのコロナ禍で、現場作業での密を避ける意味合いも加わった。

 JR新大阪駅大阪市淀川区)のそばで建設中の13階建てオフィスビル。5階のフロアで9月、「ロボット職人」は働いていた。

 4輪駆動で動く台車から2本のアームが伸び出ている。片方で床パネルを支える部品をのり付けして、床に設置する。もう片方で、1枚あたり12キロのパネルを持ち上げ、その上にはめていく。

 「自ら移動して考え、複数の動きができる。ロボット開発の集大成です」。清水建設の印藤正裕専務は言う。

役に立つロボットいなかった 技術者の悔恨

 同社によると、建設業界では1980年代から各社がロボット開発を競ってきた。

 しかし、これまでは実用性が低いものが多く、今も使われている機体はほとんどないという。

 印藤専務は「後ろで人が押していたり、余計に手間がかかったり。本当に役に立つロボットになっていなかった」と話す。

 日本建設業連合会の試算では、技能労働者が2014年度の343万人から25年度には216万人まで減少する見通しだ。

 高齢化も進み、腰を痛める職人が相次ぐ。その穴をどう埋めるかが業界全体の課題だ。

ともに働く仲間 ロボバディ誕生

 清水建設では、印藤さんら開発チームが16年にロボット開発に着手した。ロボバディは共に働く「仲間」という意味でつけた。

 建設現場は作業員同士が密になりやすい。新型コロナウイルスの感染拡大で、ロボットで職人が減らせれば密を避けられるという目的も生まれた。

 幾度もの失敗をしながら開発を進めた。完成したロボバディは、自ら床パネルの高さ調整をするレーザーセンサーを配備し、精度は誤差1ミリ以下という。

 新大阪駅近くのビルが初めての現場となる。

 まだ小回りが利かず、担うのは700平方メートルのフロアのうち中央部分の350平方メートルで、壁際の床貼りは人間の職人が補う。

 ロボバディは時折、パネルをはめ損なうこともある。施工管理の担当者は「今後、人間とロボットのコラボがうまくできれば」と言う。

 それでもおおむね計画通りに、4、5階の2フロアの作業を9月中に達成する予定だ。さらに改良したロボバディを増産し、他の現場でも活用したいという。(矢島大輔)