習近平氏の巨大肖像画にギョッとした 毛沢東より上とあがめる空気感

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北京=林望
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 チベットの象徴ともいえるポタラ宮の前に、それは突然現れた。近くでみれば、見上げるほどもあるだろう巨大な習近平総書記の肖像画だ。その映像をみた瞬間、私は何かまがまがしいものが歴史の封印を破ってよみがえってくるような落ち着かない気分になった。

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 8月19日、中国共産党政権はチベット自治区ラサで「チベット解放70周年」の記念式典を開いた。「解放」というのは政権側からみた歴史であり、チベットの人々の思いは複雑だろう。外国人記者は自由にチベットに入ることができないため、私は北京のオフィスで国営中央テレビの中継を空しく眺めていた。

 ポタラ宮の白壁の前に設けられた真っ赤なステージに習氏の姿はなく、私はいくぶん気抜けしながら来賓らのあいさつを聴いていた。習氏の巨大な肖像が映し出されたのは、その時だった。私は思わず身を乗り出した。

 何かの見間違いではないか――。そう思うほどの大きさだった。ゆうに2~3階建てのビルくらいはありそうだ。ほほ笑みをたたえた特大の習氏が広場を埋める2万人の出席者を見下ろす光景に、私の胸はざわついた。

戒めた偶像化、中国政治の知恵

 この違和感を伝えるには、少し説明がいるだろう。

 中国の街なかで指導者の写真…

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    古谷浩一
    (朝日新聞論説委員=中国政治、日中)
    2021年9月30日9時18分 投稿
    【視点】

     習近平新時代の中国は同じ共産党の一党支配とはいえ、その様相を大きく変化させているということか。10年前にこうしたトップの巨大肖像画が登場すれば、とうの中国の人々が強い違和感を口にしていたと思うが、いまは違うようだ。  最近、ファーウェイ