「悲劇の横綱」 最多優勝もファンの評価は二分 やくみつるさん

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 歴代最多の優勝45度を誇る大相撲の横綱白鵬(36)=モンゴル出身、宮城野部屋=が現役引退の意向を固めた。相撲通の漫画家やくみつるさんは「実績と周りの評価が一致しない『悲劇の横綱』だった」と振り返る。

 大相撲で史上最多45回の優勝を誇るが、立ち合いでひじのかち上げや強烈な張り手、雄たけびをあげながらのガッツポーズ。故障後は、さらに勝ちへの執念が強くなった。横綱としての品格を問う声も少なくなく、極端に評価が二分される「相撲ファンを分断した横綱だった」。

 そんな「荒くれる」横綱を、やくさんは「日本の相撲界でずっとアウェーだった」と語る。相撲は地元に根ざしたスポーツ。力士の出身地近くで開催される場所では、地元のファンが集まり声援を送る。モンゴル出身の白鵬にとっては常にアウェーな環境の中、それに反発するような相撲に見えたという。

 「孤高の力士だった。強ければいいだろう、という『後付けの相撲観』がオールドファンには受け入れられなかった。もっと如才なく振る舞えばいいのに、と思ったが、それができないのが白鵬だった」

 一方で、横綱としての「新しいひな型」を作ったとも思っている。ひざを故障しても、休場を挟みながら長らく第一人者として活躍した。「千代の富士は貴乃花(当時は貴花田)に負けて引退を決意したように、通常、誰かが『引導』を渡すもの。全勝優勝のまま引退する伝説の力士として、語り継がれるだろう」と話す。

 今後、白鵬が親方になる資格があるのか、問われるべきだとやくさんは考える。「師匠の宮城野親方をとうに超え、師匠の言うことも聞かない、誰も助言できない唯我独尊の状態のまま、親方になって大丈夫なのか」という。

 東日本大震災後、被災地を巡って炊き出しを行い、リーダーシップを発揮する一面も見せた白鵬。「もちろん評価できる部分もある半面、今後を憂えます」