小樽運河の倉庫、保存へ市が取得方針 小林多喜二の小説にも登場

鈴木剛志
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 小樽運河のシンボルとも言われながら、解体の危機にある北海製缶小樽工場第3倉庫について、北海道小樽市の迫俊哉市長は27日、10月末までに同社に土地と建物の無償譲渡を申し入れる方針を明らかにした。市によると、同社側から異論は出ていないといい、実現すれば小樽の歴史的遺産が後世に残ることになる。

 倉庫は鉄筋コンクリート造り4階建てで小樽運河の北寄りに立つ。小樽ゆかりのプロレタリア作家小林多喜二の小説に「H・S工場」として登場する。完成は1924(大正13)年で傷みが進んでいることなどから、北海製缶が昨年7月、昨年度内に解体する方針を決めた。市が同10月、1年間の猶予を申し入れた。

 27日、建築や観光などの識者による「第3倉庫活用ミーティング」が保全と活用策の最終報告を迫市長に提出した。報告は将来的に倉庫を市民の交流拠点や文化・芸術にかかわる人材育成の拠点とすることなどを提言。前提の一つとして市が土地と建物を所有することを挙げた。

 報告は、市の倉庫の保有期間を「当面の間」としている。だが、迫市長は「市が補修などをして責任を持って保有し、民間活用の道を探る」と話し、市が永続的に所有する可能性があることを明らかにした。年間250万円ほどとされる維持費の捻出方法については今後、検討するという。

 (鈴木剛志)