ミャンマー思い、3本指のクラフトビール 「後ろめたさ」から支援

ミャンマーはいま

屋代良樹
[PR]

 軍事クーデターの影響で生活に苦しむミャンマーの人たちを支援しようと、熊本県大津町のクラフトビール店「WITCH CRAFT MARKET(ウィッチクラフトマーケット)」が7月から、限定商品のクラフトビールを販売している。売り上げは全額、支援団体を通じてミャンマーに寄付される。

 取り組みを企画したのは、国際交流基金のスタッフだった大塚麻里子さん(38)=大津町=と、店を経営する田上晃子さん(39)=同町。大塚さんは2017年12月~21年3月の間、ミャンマーに駐在し、日本文化を広める文芸事業などに携わった。

 クーデターが起きた2月、いつも歩いていた街に軍用車両が通るようになり、自宅付近で銃声が聞こえたという。大塚さんは「外に出ることができず、インターネットがつながらないときもしばしばあった。ミャンマーから突然、自由と日常がなくなった」と当時を振り返る。

 任期を終えて帰国した後、「自分だけ安全な場所に戻って、後ろめたさを感じる」と大塚さん。日本で何かできることはないかと、大津中学時代の同級生だった田上さんに相談すると、クラフトビールの販売による支援を提案された。

 田上さんもミャンマーを訪れたことがある。「治安が良く、現地の人たちも親切でよく一緒にお酒を飲んだ。ニュースを見て心が痛んだ」と話す。

 天草市醸造所に発注し、瓶入りビール「ミャンマーサポートビール」が完成した。より多くの人に飲んでもらえるように、マイルドなフルーツ風味を選んだ。特製のラベルには国軍の弾圧に対する抗議を意味する3本指が描かれており、その上にミャンマー語で「春の革命」を意味する文字が記されている。デザインは田上さんがミャンマーで知り合い、現在日本に滞在中のミャンマー人留学生が担当した。

 当初は400本を目標としていたが、SNSでの投稿が反響を呼び、販売開始から一晩で売り切れたという。これまでオンライン上での販売を含め1400本以上が売れた。

 収益は全額、支援団体の日本ビルマ救援センターを通じて現地での食料支援キャンペーンに寄付される。田上さんは「ビールを味わってもらいながら、少しでも多くのミャンマーの人たちの助けになったら」と語った。

 1本(330ミリリットル)990円。1500本をめどに販売を終了する。27日現在で残り約40本。田上さんによると、今後はほかの支援プロジェクトも検討するという。店は現在、新型コロナウイルス感染防止対策のため、店内での飲食はできず酒の販売のみをしている。問い合わせは店(096・285・3133)へ。(屋代良樹)