劇場の暗闇にたゆたうクラゲ、浮かぶカーテン 「感触が僕の作品」

会員記事

大野択生
[PR]

 木漏れ日に輝くカーテンや、月光がとけゆく海の水面が暗闇に浮かび上がる。スニーカーやボタンといった身近な日用品などを題材に、鑑賞者の内に眠る記憶を引き出すような映像インスタレーションを発表してきた作家が選んだのは、揺らめき、変化する自然の姿だった。

写真・図版
「志村信裕展:游動」の展示風景=2021年9月8日、KAAT神奈川芸術劇場、大野択生撮影

 現代美術家・志村信裕(39)は、コロナ禍前の2019年から拠点を千葉県香取市に置く。収束の見えないコロナ禍の中での暮らしに、「これは東京に住んでいたらきついんだろうなあ、と。せっかく都会にいるのに、(コロナで)人に会えない」と話す。

写真・図版
志村信裕=2021年9月8日、KAAT神奈川芸術劇場、大野択生撮影

 一方で、コロナ禍によって自身は、自然や季節の変化に対する感度が高まるのを感じたという。それは、作品制作にも影響した。「(日用品をモチーフに使うより)自然物を対象にした方が、リアリティーがあると思った」

 KAAT神奈川芸術劇場横浜市)で開かれている個展では、薄雲にかすむ月など、自然の変化を撮影した映像がさまざまな方法で映し出される。

 水中にたゆたうクラゲの群れ…

この記事は会員記事です。残り488文字無料会員になると月5本までお読みいただけます。