交差する映像とまなざし ピピロッティ・リストが試みる「集団体験」

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大野択生
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 ハンマーを手にした女性が軽やかに歩き、路肩の車列の窓ガラスを次々に打ち割っていく。四つんばいで草原を歩く女性がリンゴにむしゃぶりつく。スイス出身の映像作家、ピピロッティ・リスト(1962年生まれ)は、そんな作品を送り出してきた。そして、個展の会場で作品を鑑賞した人たちは、思わぬ経験をすることになる。

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「永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に」の展示風景=2021年8月6日、水戸芸術館現代美術ギャラリー、大野択生撮影

 スイスのグラブズという自然豊かな地に生まれたリストは、ウィーンやバーゼルでビデオアートなどを学んだ。初期の作品には女性の身体をテーマにしたものが多い。「わたしはそんなに欲しがりの女の子じゃない」(86年)は、ビートルズの楽曲「ハピネス・イズ・ア・ウォーム・ガン」の歌詞の一節「She’s not a girl who misses much」の「She’s」を「I’m」に入れ替えてリスト本人が踊りながら歌う。

 水戸芸術館現代美術ギャラリーで開かれている個展は、初期から近作まで約40点を集めた。

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手前は、床に敷き詰めた小石に映像を投影する「アポロマートの床」。奥は壁に紙やプラスチックなどの素材を並べたインスタレーション「イノセント・コレクション」に映像を映す「アポロマートの壁」=2021年8月6日、水戸芸術館現代美術ギャラリー、大野択生撮影

 冒頭に登場する「永遠は終わ…

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