元画商、本格捜査前に「偽版画の処分を」 作家に依頼、複数を破棄か

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 有名画家の作品をもとにした偽の版画が大量に出回った事件で、著作権法違反容疑で逮捕された元画商と作家が問題の発覚後、手元にあった偽の版画を破棄した可能性が高いことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は供述などから、2人が十数年前から偽版画の制作や販売をしていたとみて調べている。同庁は28日午前、2人を送検した。

 逮捕されたのは、大阪市北区にあった画廊「かとう美術」の元代表加藤雄三(53)=大阪府池田市=と、奈良県大和郡山市で工房を経営する版画作家北畑雅史(67)の両容疑者。

 捜査関係者によると、2人は2008年ごろに知り合った。警視庁の調べに、「仕事を通じて知り合ってすぐに偽版画を作るようになった」「1点あたり数十万~百万円超で販売した」といった趣旨の供述をしているという。2人が問題が発覚した昨春から警視庁が本格捜査を始める昨年末までに、所有する複数の版画を破棄していた可能性が高いこともわかった。加藤容疑者が北畑容疑者に「工房にある偽の版画を処分してほしい」と頼んだという。

 加藤容疑者は真作の版画を自身の画廊や百貨店の即売会、専用オークションなどで売っていた。警視庁は贋作(がんさく)もこうした場で取引したとみている。加藤容疑者の金融機関の口座には計約6億2千万円が入っていたといい、同庁が任意で事情聴取した際には「偽の版画を売って得た金が含まれる」と説明したという。

 2人の逮捕容疑は、2017年1月~19年1月に共謀して日本画家・東山魁夷(1908~99)の「草青む」「白馬の森」など5作品の偽の版画を計7点制作し、遺族らが持つ著作権を侵害したというもの。加藤容疑者が依頼し、北畑容疑者がリトグラフの技法で作ったとみられるという。

 警視庁はこれまでに、加藤容疑者の関係先から押収した版画のうち、東山のほか、ともに日本画家平山郁夫(1930~2009)と片岡球子(1905~2008)、洋画家の有元利夫(1946~85)らの贋作を計約30点確認した。これとは別に、業界団体の依頼を受けた鑑定機関も、これらの画家の贋作を約130点確認している。

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