「この人サッカー選手なんだ」でOK SNSでまずは興味を

INAC神戸社長・WEリーグ理事、構成・金子智彦
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 9月12日のWEリーグ開幕戦でINAC神戸は5―0で大宮に快勝しました。スタッフとともに、私も場内DJや選手インタビューなどで大忙し。試合後、緊張の糸が切れたのか、前日からの体調不良に耐えきれず病院へ。急性虫垂炎(盲腸)と診断され、即手術、入院。連日の疲労に体が悲鳴を上げました。

 しかし、TUBEの春畑道哉さんによるテーマ曲の生演奏、岡島喜久子チェアの開幕宣言と、歴史的な1日の演出に関われ、充実感でいっぱいでした。少しだけ自分もスタッフも褒められていいかなと思います。ただ、ノエビアスタジアム神戸の来場者数は4123人で、目標の5千人には届きませんでした。緊急事態宣言下の制約はありましたが、観客動員はリーグの最大の課題であり、改革が必要です。

 これまで女子サッカーを支えてくれたのは、中高年の方々が中心でした。ここに10~20代の女性を引き込めるかが重要です。行政とタイアップした集客と並行し、純粋に「プレーを見たい」「あの選手を見たい」と言う人を増やしたい。そのため、選手には自らお客さんを連れてくる努力を求めています。

 SNSの活用はその一環です。INAC神戸では3月から「TikTok」(ティックトック)とメディアパートナー契約を結び、運用しています。練習風景やチャレンジ動画、選手の横顔や魅力を知ってもらえるような投稿をしています。個人のアカウントでは選手同士で恋愛観を語り合うなどの試みもしているようです。動画を見た人が「あっ、この人サッカー選手なんだ」と後で気付いてもいい。まずは興味を持ってもらうことが大切です。

 ツイッターフェイスブックなど、SNSの種類によって広報やマーケティングなど目的は異なりますが、クラブの人員、予算が限られる中、こういったさまざまなメディアの有効活用でINAC神戸はリーグ内で一歩先をいきたい。TikTokのフォロワーは開設から5カ月で1万人を超え、再生回数も300万に達しています。

 しかし、選手を「アイドル」のように売り出すことには反対です。一生懸命さ、純粋さ、ひたむきさ。あくまで女子サッカーという競技に目を向けつつ、その中で出身地や趣味などの共通項を発見することで、選手に親しみを持っていただきたいと考えています。