第3回虐待受けた18歳を救えない国 「大学はぜいたくか」生活保護を問う

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久永隆一
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 児童虐待の経験者と支援者という2人が、ネットで署名を集め始めた。「虐待から逃げた18歳。頼みの綱は生活保護です。どうか選択肢をください」。活動で掲げるこの文言の裏側には、2人の実体験があった。虐待を受ける大学生を救えない生活保護制度の改善へ、立ち上がった。

 署名活動をするのは大阪市の中村舞斗さん(32)。児童虐待を受けた人を支援するNPO法人「虐待どっとネット」代表理事。自身が祖母らから暴力を受け、母親のネグレクト育児放棄)も経験した。

 もう一人は神奈川県弁護士会に所属する弁護士の飛田桂さん(39)。子どもシェルターや児童相談所といった様々な現場で子どもや若者の支援に取り組んでいる。

 面識のなかった2人はSNSへの互いの投稿を通じて、ある共通の問題意識を持っていることを知る。

 それは、虐待を受け、親元を離れようとする大学生に対し、生活保護の利用を認めないことへの疑問だった。2人は8月下旬、利用を認めるように国に求める署名活動を始めた。

 制度の穴が、この問題を引き起こす。

 虐待に耐えてきた子どもは、18歳を過ぎると制度のはざまに置かれる。児童福祉法の「児童」ではなくなり、それまで支援をしてくれていた児童相談所は法律上は関われなくなる。児童養護施設や里親のもとで暮らせるのも、延長を認められない限り、18歳を迎えるまでとなる。

 大学に進み、親元を離れようとしても、今度は生活保護制度の壁にぶつかる。

「大学はぜいたく品です」の言葉に…

 中村さんの経験が典型例だ。虐待の後遺症に苦しみながら、病院で働いてためたお金で22歳のとき、目標の看護大学に入った。「ようやく乗れた普通のレール」(中村さん)だった。

 身内は誰も頼れない。朝7時からドラッグストアで働き、夜は居酒屋の店員。まかないで食費をうかせた。

 2年生のとき、虐待体験のフラッシュバックがひどくなり、働けなくなった。

 7月ごろ、役所の生活保護の…

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