宣言解除、群馬県独自の警戒度は「4」に据え置き 続く時短要請

新型コロナウイルス

松田果穂 張春穎、前田基行 柳沼広幸、小泉信一 中村瞬
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 群馬県内に8月20日から出されている緊急事態宣言が、30日で解除されることが決まった。だが、県独自の警戒度は、全県で「4」に据え置かれ、飲食店などへの時短要請は続く。県内の主要都市では酒を出せずに休業する飲食店が目立った。コロナ禍の収束は見通せず、飲食店や観光地では喜びと不安の声が入り交じった。

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 山本一太知事が臨時会見で、宣言解除後の対応について発表した。10月7日までの1週間は、県内全域の接待を伴う飲食店などに、午後8時~翌日午前5時までの営業自粛(酒類の提供は午後7時まで)を要請する。県の「ストップコロナ!対策認定店」の対象店は、午後8時以降の営業と終日の酒類提供を認める。

 時短要請の対象は、10月1日以降はキャバクラなど接待を伴う飲食店▽居酒屋など酒類を提供する飲食店▽カラオケ店の3業種。要請に応じた店には協力金を支払う。大規模商業施設の入場制限は行わない。

 県立学校では1日から、通常登校が再開される。原則休止としていた部活動は、感染リスクの低い個人や少人数の練習を、校内に限り再開する。

 県民には引き続き、不要不急の外出や県外との往来、大人数での会食の自粛などを求める。

 県によると、28日までの直近1週間の感染者数は150人で、前週の222人、前々週の441人から減少。宣言期間中は8月26日までの1週間の1926人をピークに減少が続き、27日には7月中旬以来71日ぶりに、1日の新規感染者数が1桁台になった。病床稼働率は20%で、宿泊療養施設を利用する人は96人(27日現在)。

 国が示す感染拡大の指標では、全7項目で2番目に深刻な「ステージ3」の基準を下回るなど、感染状況は落ち着きつつある。

 山本知事は「『第5波』の最悪の状況は去ったが、油断はできない」として、あらためて感染対策の徹底を求め、宣言解除後の措置に理解を求めた。(松田果穂)

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 全国有数の温泉地、伊香保温泉群馬県渋川市)は28日、平日とあって観光客もまばら。カップルで石段街を散策していた埼玉県所沢市の男子大学生(19)は「緊急事態宣言の解除はうれしい。行動範囲が広がる」と笑顔を見せた。女性(20)も「ワクチンを1回接種済みなので少し安心です。景色がきれいで楽しい」と顔をほころばせた。

 コロナ禍で苦境が続く県内の観光地。伊香保温泉も、かき入れ時の8月の宿泊者数は延べ約5万4千人と、コロナ前の半分以下に落ち込む。

 伊香保温泉旅館協同組合の高橋秀樹理事長は、宣言解除を歓迎しつつも「期待と不安が半々」と感染再拡大への懸念を示す。高橋さんが経営する旅館「美松館」では11~12月の予約が徐々に入り始めている。「これから紅葉シーズン。客足が戻ることを期待したい」と話す。

 首都圏からの宿泊客が多い老神温泉(群馬県沼田市)。老舗旅館「仙郷」では温泉を止めていた露天風呂付き客室の湯の出具合などを確認する予定だ。客足が遠のいていただけに「うれしい」と会長の金子充さん(69)。従業員はワクチン接種を済ませ、接種済みの客向けに2千円分の館内利用券を使えるプランも用意した。「お互いに安心できるよう、また緊急事態宣言になることは避けたい」(張春穎、前田基行)

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 県内では今年に入り、春先をのぞき、主要な商業地を中心に時短要請などがほぼ断続的に続いている。

 8月上旬のまん延防止等重点措置以降、夜の営業を休んでいる群馬県太田市浜町の居酒屋「酒肴処 花紋」の茂木勝さん(65)は、解除されれば営業を再開する予定だ。「解除になるのはいいが、その先の第6波が心配だ。居酒屋は宴会の予約が入らないと経営は厳しいが、常連客が来られるように店は開けたい。休みが長引いたので、おっかなびっくりだ」

 昨年からコロナで営業できない時期に、昼にハンバーガーのテイクアウトを始めた。「遊んでいるわけにもいかない。なんとか稼ごう」と、ミキサーやオーブンなどを新たに購入して始めた。時短要請の協力金もあり、経営をつないできた。「かみさんと2人だからなんとかやってきた。コロナが落ち着くまでは、なるようにしかならないな」

 一方、上毛電鉄・中央前橋駅近くの居酒屋。緊急事態宣言中もノンアルコールを提供しつつ、午後8時まで営業してきた。客層は年金暮らしの高齢者が多く、独り暮らしの人もいるという。

 「夜、寂しさをまぎらわすためにやってきて、世間話をして家に帰っていったのです」と60代の経営者。宣言期間中、店内をうかがうような不審な人がいた。「酒を飲んでいる客がいたら役所に報告するんでしょうね。あれが『自粛警察』と言うのでしょうね。いやな世の中です」

 宣言解除で再び酒を出せるようになるが、提供は午後7時まで。「サラリーマンなどお勤めしている人が店にやってくるのは、午後7時前後が多い。これではゆっくりお酒を楽しむこともできない。もう少し実態に合った時間にしてほしい」と話す。(柳沼広幸、小泉信一

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 分散登校が続いてきた県立学校。緊急事態宣言以降、部活動は運動部、文化部とも原則休止中だ。県教育委員会によると、全国大会につながる大会に選手として出場するメンバーのみが平日の登校日に限り参加可能で、運動部では1時間半までと定められている。

 現在、秋季関東大会県予選が行われている高校野球。ある県立高校の野球部監督は「1日でも早く、通常通りの部活動ができる状態に戻ることに期待している」と話す。「部活動は競技の技術向上だけでなく、人間的に成長するために大切なもの。長い制約で子どもたちが気の毒だ」と続けた。(中村瞬)

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