公式アカウント友だち10万人突破 広島・福山市のLINE術

蜷川大介
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 広島県福山市役所の公式LINEアカウントの「友だち」が運用開始から1年半で10万人を突破した。人口46万人の市で5人に1人が利用している計算だ。県内自治体では断トツの多さで、全国的にみても異例の人気。これほど利用者が増えた理由とは? 

 市は昨年3月にアカウントを開設した。防災情報や休日当番医、イベント情報を週1回ほど発信するはずだった。

 ところが翌月、市内でコロナ感染が初確認された。「市民への速報が待ったなしだった」とSNS発信を担う市情報発信課の川島摩衣子さん(34)。若手職員10人で「発信当番」を組み、新型コロナ情報を連日速報した。その月に友だちは3万人を突破し、その後も感染拡大が続く中で利用者は増加。職員はいまもテレワーク用パソコンを持ち帰り、土日は自宅から発信する。

 今年7月に市が12~64歳の約28万人にワクチン接種券を送った際は、LINE登録のためのQRコードを同封した。国からの供給量が見通せず、日々変わるワクチン情報をLINEで知らせようと考えたからだ。

 市のホームページでも、ワクチン接種の予約情報は出ているが、「LINEなら通知してもらえるので見逃さない」という声が多かった。登録者は7、8月に1万人ずつ急増した。

 福山市の利用者は40代を中心とする女性が3分の2を占める。20歳未満はほぼいない。福山市に住む鉄道会社勤務の40代女性は「もともとLINEはママ友と使っていて、なじみがあった。『ワクチン接種の情報を得られるよ』と両親から教えられて登録した」と話す。

 県内では尾道市の公式LINEの登録者数が3万7千人。13年に運用を始め、18年の西日本豪雨を境に増えたという。広島市は3万5千人。今年3月に導入し、「夜間や休日の接種受け付け」「キャンセル枠の接種希望者を募集」といったワクチン情報も発信する。他の自治体は、県が3万人▽東広島市1万8千人▽呉市1万2千人といった具合だ。

 これに対し、福山市の「友だち」は、28日現在で人口の2割を超える10万5千人で群を抜く。「(中核市として独自設置する保健所の)コロナ感染情報が他市より詳しい」「文字が大きく見やすい」といった声が目立つ。時には市長会見や市の施策を紹介するアニメ動画も発信して好評だ。

 市によると、6月まで全国の中核市62市の中で登録者数1位だった。現在も金沢市、横須賀市などと上位を争う。高松秀幸・市情報発信課長(51)は「今後も市民が求める情報を、スピーディーに手元に届けられるよう努力していきたい」と意気込みを語った。(蜷川大介)