「生きるため大麻が必要」オランダ移住まで… 若者が陥った依存の闇

有料会員記事

松島研人
[PR]

 一瞬でも、つらい気持ちを紛らわしたい。その一心だった。

 シロさん(26)は16歳のとき、大麻を常用するようになった。友達と最初に吸ったときは、薬物中毒で「負け組」にならないよう、ほどほどにするつもりだったが、コントロールできず、給食代で大麻を買い、パンを万引きするようになってしまった。

 シロさんは長崎で生まれ、すぐに家族の仕事の都合でアメリカへ引っ越した。

 周りに日本人はほとんどいない。勉強が苦手で、学校の授業についていけず、ちょっかいをかけられることもたびたびあった。

 親からは「勉強しなさい」と言われたが、どうすれば良いか分からず、自分の居場所がなくなったような気がした。

 当時住んでいた地域では、コンビニなどで「合法ハーブ」が売られていた。

 大麻は違法だが、友達が常用しているといううわさも聞いていた。

 「使えば楽しい気分になれる」。そんなイメージがあった。

2カ月に1回だけのつもりが

 「おれも使ってみたいんだけど」

 勇気を出して、友達に打ち明けると、「みんなやっているよ」。

 放課後、学校の近くの林で友だちと一緒に吸った。

 頭の中で渦巻いていたもやもやした気持ちが晴れ渡るような気持ちになった。

 「健康に悪いかも」「吸い続けると負け組になる」――。そんな不安があった。

 常用は危険なので、2カ月に1回だけにしておこうと決めた。

 でも、吸わない期間が長くなると、無気力になり気分が落ち込んだ。

 徐々に頻度が増え、毎日吸うようになった。

 親からもらった給食費で大麻を買った。

 空腹になると売店でパンを万引きした。

 それでも足りず、親の財布からお金を盗んだ。

 生活が乱れ、18歳のとき、親ともめたことがきっかけで捜査当局に摘発された。翌年帰国し、名古屋に住む祖父母のもとへ。折り合いが悪くなり、一人暮らしを始めてから、引きこもりになった。

 うつ病と統合失調症と診断された。

 なぜ、手を出してしまったのか。周りの人は薬物に頼らず楽しく暮らしているのに……。

下見に行ったオランダ

 劣等感にさいなまれる一方で、「生きるためにはどうしても必要だ」と、大麻が合法化されているオランダへの移住を考えた。

高校卒業後に上京した3人兄弟の末っ子は、薬物依存症になり、地元で再就職。「治るだろう」と見守っていると、やがて遅刻や欠勤が続き、働けなくなった――。立ち直りのきっかけは、母親の「突き放し」でした。記事後半で紹介します。

 だが、下見で訪れたとき、思…

この記事は有料会員記事です。残り2233文字有料会員になると続きをお読みいただけます。