だいすきノート 第7話
スキルス胃がんと診断されたみどりさんは、32歳だった2019年12月、慶応大病院に通う一方で、「福澤クリニック」(横浜市神奈川区)の袴田智伸・副院長(44)らの訪問診療を2週に1度ほど受けていた。
袴田さんは、のみ薬に加えて座薬のタイプの薬も用意した。痛みや吐き気が急に強まった時、家族でも対応しやすいようにするためだった。
小児科医としての経験もある袴田さんは、みどりさんの双子の娘、もっちゃん、こっちゃんの風邪なども診た。
2人が昼寝をしている間に、手早くインフルエンザのワクチン接種をしたこともあった。
年末が近づくと、みどりさんは吐き気が強くなり、薬をのみづらくなった。袴田さんは貼るタイプの医療用麻薬を処方した。
子どもたちにも伝えないと
新年は埼玉県の実家で迎えた。両親を交えて写真を撮り、子どもたちと映画館で「アナと雪の女王2」を見た。
横浜市の自宅に戻ったころ、みどりさんの体調は急激に悪くなった。胃からの出血がまた始まったようで、下血があった。
1月9日、いつものように娘たちが寝ている早朝に家を出て、慶応大病院に向かった。
「まだ、治療を続けたい。で…