第2回自民党の「不真面目さ」再び 岸田新総裁の誕生は何をもたらすか

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聞き手・稲垣直人
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 自民党の新たな総裁に、岸田文雄政調会長が選出された。このことは、政権与党である自民党や日本政治にとって、どんな意味をもたらすのか。間近に迫る衆院選への影響は。現代日本政治、日本政治外交史が専門の佐藤信・東京都立大学准教授に聞いた。

     ◇

 ――近づく衆院選も射程に入れると、今回の結果をどう見たらよいでしょう。

 「自民党員ではない多くの国民にとってみると、岸田さんが新総裁になったことで、次の衆院選で1票を投じる際、これまでの安倍、菅両政権に対する『業績評価』がしにくくなることが懸念される点です」

 ――といいますと?

 「選挙には通常、与党がそれまで行ってきた政策について、有権者が評価を下すという業績評価の側面があります。たとえば今回、岸田さんではなく、河野太郎行革担当相が新総裁になっていたとしましょう。河野さんは安倍内閣で外相、防衛相などを務め、菅内閣でもワクチン担当として、新型コロナ対策の前面に立っています。菅義偉首相も『継続が極めて大事』と支援を表明しました。ですから、もし河野政権が生まれたなら、有権者は安倍、菅、河野政権を一まとめにして、衆院選でこれまでの業績を評価することができたはずです。高市早苗総務相が新総裁になった場合も、安倍内閣で長く総務相を務め、今回も安倍晋三前首相の支持を得て、アベノミクスをはじめとする安倍政権の継承を掲げていた点で、次期衆院選安倍政権の業績評価はしやすかったでしょう」

写真・図版
会見する自民党の岸田文雄新総裁=2021年9月29日午後6時、東京・永田町、内田光撮影

やりにくくなった安倍・菅政権の業績評価

 「しかし、岸田政権となればどうでしょう。もちろん、岸田さんも安倍政権で外相、党政調会長を務めました。とはいえ、コロナ対策では政調会長としてまとめあげた限定世帯への30万円給付を最終段階ではしごを外され、自らが率いる派閥・宏池会二階俊博幹事長から苦汁を呑(の)まされてきました。期待されていた安倍さんからの禅譲は前回、今回ともにありませんでした。菅政権では無役でした。今回の総裁選での政策でも、アベノミクスとは距離を置く所得の再分配をうたい、二階さんの幹事長交代といった『転換』を打ち出しました。第1回の投票でも、菅さんが支持する河野さん、安倍さんが支持する高市さんを破って1位になっていたわけですし、岸田政権を安倍、菅政権とひとくくりには論じにくい。ですから、安倍、菅の両政権をつくってきた自民党のこれまでの活動は、国民の審判を受けないで終わってしまうといった事態が起こりえます」

総選挙が迫るなか、いま私たちが考えるべきことは何か。有権者として何を問われているのか。寄稿やインタビューを通して考える連載です。記事後半では、佐藤さんが自民党の政治手法について、「『不真面目』な政治」と「『生真面目』な政治」に分け、現状を解説し、衆院選のポイントについて語ります。

 ――それがまさに、自民党の戦略だったのでは?

 「選挙戦略という点からみれ…

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