第9回当たり前の日々が望み 2人に伝えた「ママはもうすぐ、いなくなる」

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編集委員・田村建二
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みどりさんは訪問看護師の鈴木さんに「ごくふつうの生活がしたい」と望んだ=2020年1月12日、家族提供
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だいすきノート 第9話

 スキルス胃がんで、主治医から「これ以上の治療は難しい」と伝えられたみどりさんは、2020年1月、慶応大病院から横浜市の自宅に戻った。

 福澤クリニックの袴田智伸医師(44)の訪問診療をそれまでよりも頻繁に受けた。胃からの出血もあり、症状を緩和するために在宅での輸血を受けることもあった。

 袴田さんは、注射タイプのモルヒネ製剤を使い始めた。みどりさんはすでに、錠剤のモルヒネを口からのむことが難しくなっていた。注射の方が痛みを細かくコントロールすることが可能だった。

 当時、横浜市神奈川区のかたくら訪問看護ステーションで働いていた看護師、鈴木寛子さん(39)も、毎日のように家を訪ねた。

 鈴木さんは、みどりさんに「うちでどう過ごしたいですか?」と聞いた。

 みどりさんは「ふつうの生活がしたいです」と答えた。

 家族が一緒にご飯を食べる、子どもたちが遊ぶ姿を近くで見る。そんな当たり前の日々が望みだった。

 「願いがかなうように、力を尽くしてお手伝いしよう」と、鈴木さんは思った。

 みどりさんは、自身の体調の変化から「もう、長くはない」と感じていた。いなくなってしまうことを、双子の娘もっちゃん、こっちゃんに伝えなければと思っていた。

 でも、どんな言葉で伝えたら…

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