だいすきノート 第10話
スキルス胃がんが進行していたみどりさんは、2020年1月21日、自宅で訪問入浴のサービスを利用した。
体力が落ち、もう1週間ほど入浴できていなかった。
サービスの存在を看護師の鈴木寛子さん(39)から聞いた夫のこうめいさん(37)が、お風呂が好きなみどりさんの願いをかなえたいと申し込んだ。
横浜市が設けている、若いがん患者の在宅療養を支援する制度を使った。
ベッドを置いた自宅2階の居間に、スタッフが浴槽を持ち込み、湯を張った。
双子の娘、もっちゃん、こっちゃんはこの日、幼稚園を休んだ。浴槽に横たわったみどりさんの体に湯をかけ、手や足を洗った。
1月23日。埼玉県の実家から来ていた母えつこさん(60)も一緒に、家族で朝ごはんを食べた。
容体に異変
みどりさんは、ベッドの上に敷いたクッションにもたれていた。もう、食卓まで来る力は残っていなかった。
前夜、みどりさんはほとんど…