原発避難「国に責任」 ふるさと喪失慰謝料など賠償上積み 高松高裁

谷瞳児
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 東京電力福島第一原発事故で愛媛県に避難した10世帯23人が、国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、高松高裁であった。神山隆一裁判長は一審・松山地裁判決に続いて国と東電の責任を認め、約4600万円の賠償を命じた。賠償額は、避難指示の対象になった原告について「ふるさと喪失慰謝料」を認めるなど、一審の約2700万円から上積みした。

 原発事故による避難者が国と東電を訴えた集団訴訟の控訴審判決は、今回が4件目。うち国の賠償責任を認めたのは、昨年9月の仙台高裁、今年2月の東京高裁に続き3件目となった。

 神山裁判長は、政府の「地震調査研究推進本部」が2002年7月末に公表した地震予測「長期評価」について「専門家集団が科学的な知見に基づいて取りまとめた。相応の科学的信頼性がある」と評価した。

 国が東電に対し、長期評価に基づくシミュレーションを指示していれば、津波が到来する危険性を認識できたと認定。福島第一原発を所定の技術基準に適合させるための措置を講じることができたのに、国が規制権限を行使しなかったことは「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠く」とし、国の責任を認めた。

 また、原発事故は国の規制権限不行使と、東電の原発運転などが相まって起きたとし、国と東電には同等の責任があるとした。

 その上で、賠償額について検討。原告らは避難生活を長期間続けざるをえなくなったとし、避難継続の相当期間について、最大で月12万円の慰謝料を認めた。避難指示の対象となった原告については、家庭や学校、職場など地域社会との関わりも相当程度に失い、「実質的に故郷を失ったのと同視できる」とし、原告1人あたり100万円の「ふるさと喪失慰謝料」を認めた。

 判決後、高松市内で記者会見を開いた原告団の代表の渡部寛志さん(42)は「国の責任を明確に認めてもらい、ホッとしている」と話した。野垣康之弁護士も「今後の同様の裁判に大きな影響を与えていくと思う」と期待をにじませた。

 原子力規制委員会は「新規制基準への適合性審査を厳格に進めていくことにより、適切な判断を行って参りたい」とコメントした。(谷瞳児)