中高年の美容整形、理由の最多は「自己満足」 盛りたい意識も

聞き手・田渕紫織
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 美容整形(美容医療)は、いまや中高年にも一般的なものになりました。どんな理由から、整形を望むのでしょうか。整形について18年前から調査を続けている関西大の谷本奈穂教授(文化社会学)は、イメージとは異なる現状を語ってくれました。

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 美容整形を望む理由については、「コンプレックスがあるから」「異性にモテたいから」といったイメージが根強くあります。しかし実際、動機の主流は「自己満足」。2003年から計4回アンケートし、全てこれが最多でした。ミドルエイジ以降はこの傾向がいっそう顕著です。夫や彼氏のためといった「他者ウケ」を求める理由は、若い人に比べて極めて少ないです。

 もちろん、「自己満足」というのはマジックワードで、そこに「他者ウケ」も混じり込んでいて、切り離せません。ただ、本人が「誰かのために」と言わず、あくまで「自分のため」と語り、その言葉が人を納得させているという事実が重要なのだと思います。

 そして、ここで言う「自分」というのは、少し「盛った」自分かもしれません。

 例えば、写真うつりのいい写真の自分こそ自分だと思いたくて「写真うつりがいい写真を残しておこう」という意識は、多くの人にあるのではないでしょうか。今は画像の加工技術も発達し、瞬時にそれができるようになりました。古くは「プリントシール」、今はSNS。その中の盛った自分を自分として認識する「盛る文化」は強まっています。

「あるがまま」の暴力性も

 シミが増えてきたからとったり、まぶたが下がってきて違和感があるから少し引き上げたり。中高年にとっても、整形のハードルは下がってきたといえます。

 要因はいくつかあります。

 まず、メディアの影響。1990年代からミドルエイジ向けの雑誌が次々創刊され、広告や記事に整形が普通に登場するようになりました。

 そして、医療の発達も大きい。メスを使わないレーザーなどの施術が増えました。かつては「プチ整形」と呼ばれ、今は「美容医療」と呼ばれます。

 さらに、世代の傾向もあります。今の50代は、バブル期に女性の消費を促進してきました。さらに上の世代は「体は人工的に変えてはいけない」という意識が根強いかもしれませんが、50代以下の世代は自分の外見に関心を払ってお金を使うことに後ろめたさを感じなくていいという意識はあると思います。

 「あるがまま」と持ち上げられることもあるグレーヘアも、実はある程度きれいに手入れがされていることが条件になっていて、暴力的な側面もありますよね。「あるがまま」にあらがいたい人は、あらがうことに罪の意識を感じなくてもいいと思います。整形をしたくてした結果、自己肯定感が上がる人は一定数います。

 一方、整形は医療行為であり、外見に関わる自己決定なので、リスクはつきもの。事前によく調べてから決めることをおすすめします。(聞き手・田渕紫織)

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