「岸田文雄って誰?」海外の目線は 外交手腕や政権の安定性に期待も

有料会員記事自民党総裁選2021

冨名腰隆=北京、鈴木拓也=ソウル、疋田多揚=パリ、石橋亮介=モスクワ、荒ちひろ、小野甲太郎
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 29日投開票された自民党総裁選には、海外からも注目が集まった。決選投票を制した岸田文雄政調会長には、党改革を訴えた河野太郎行政改革相と比べて地味との評価があったが、外交をはじめ安定した政権運営に期待も寄せられた。

 中国では知名度の低い岸田氏について、人民日報系の環球時報(電子版)は「岸田文雄って誰?」と題した記事を配信。独自色が打ち出せるかが焦点だとした。AP通信は「変革を訴えた異端児の河野氏より、安定の岸田氏が党内の重鎮の支持を集めた」と伝えた。米CNNは岸田氏を「合意形成を重視し、安全で安定した政治手法をとる」と評価。ニューヨーク・タイムズは「国民からも一般党員からも支持はあまり見られなかったが、党内の保守派は河野氏よりも岸田氏を好んだ」と伝えた。

 韓国の聯合ニュースは「総選挙を控え、有権者が好む候補を総裁にとの声が出たが、党内の力学や派閥の論理を超えることはできなかった」と論評。英フィナンシャル・タイムズは「総裁選が世代交代の先駆けとなり、何十年にもわたり日本政治を特徴づけてきた不透明な派閥政治から脱却することに期待した若い党員にとって痛手となった」と評価した。

 仏ルモンドは岸田氏を「穏健派でカリスマ性に欠ける人物」と評したが、広島出身であることにも触れ、家族が原爆で被害を受けたと紹介。核軍縮への思い入れがあるとして、外相時代の2016年、オバマ米大統領(当時)の広島訪問に尽力したと伝えた。

 世論調査では河野氏が先行していたものの、派閥の実力者に支持されて勝利したと総括した。「国家主義者」の高市早苗氏と「候補者の中で唯一、女性やマイノリティーの権利といった社会問題を訴えた進歩主義者」の野田聖子氏を下した、とも伝えた。

 一方、外相を歴代最長の4年7カ月務めた岸田氏の外交手腕への関心は高い。

 韓国では、大統領府が「韓国政府は新しく発足する日本の内閣と韓日間の未来志向的な関係発展のために引き続き協力していく」とのコメントを出した。文在寅(ムンジェイン)政権を支える進歩(革新)系与党「共に民主党」の報道官は、日韓関係の改善のために「日本政府が歴史的事実を直視しなければならない」と主張した。「岸田内閣の発足がその契機になることを望む」と求めた。

 聯合ニュースは岸田氏を「15年の日韓慰安婦合意を主導した人物」「自民党内のハト派で、韓日関係を重視してきた」と紹介。日韓関係悪化の原因となっている元徴用工や元慰安婦の問題には「日本政府の立場を維持するとみられる」としながらも、「菅政権よりは韓日の対話が多くなるとの観測も出ている」と伝えた。

領土問題も平和条約も何ら前進しないだろう」

 KBSテレビは岸田氏を「保…

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