混戦のドイツ総選挙が示すもの 「メルケル首相後」の政治の行方は

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聞き手・森岡みづほ
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 9月26日に投開票されたドイツの連邦議会選挙(総選挙)は、引退するメルケル首相の後任を決める選挙でしたが、様々な党に支持が割れ、混戦となりました。連立与党のうち中道右派キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が敗北し、中道左派社会民主党(SPD)が第1党となりました。とはいえ、差はわずかです。環境政党の緑の党の躍進も注目されています。今回の結果は何を意味するのか。今後のドイツ政治は、どうなるのか。ドイツ政治外交史が専門の板橋拓己・成蹊大学教授に聞きました。

 ――ドイツの連邦議会選挙には、日本とは大きく違う仕組みがあるようですね。

比例代表を重視する選挙制度

 日本と同じく小選挙区と比例代表があって、18歳以上の有権者は1票目を小選挙区の候補に投票し、2票目を政党に投票します。日本と大きく違うのは、ドイツでは比例代表が圧倒的に重視されることです。比例の得票率に応じて全議席の各党の構成割合が決まります。連邦議会の定数は598ですが、小選挙区の結果を加味しながら比例の政党の構成割合を維持するため、実際には598議席よりも多くなります。前回2017年選挙は709議席で、今回は735議席になりました。さらに、小政党の乱立を防ぐため、得票率5%未満の政党は、三つ以上の小選挙区で当選者を出さない限り、議席が得られません。

 ――首相はどうやって決まるのですか。

 連邦議会議員の過半数の票を得た者が連邦首相に選ばれます。ドイツでは、普通は一つの政党や会派で過半数を占めることはないので、複数の政党が連立を組んで政権をつくることになります。複数の政党の連立によって過半数を取り、その代表が首相になります。過去には第2党と第3党が連立を組んで与党になったこともありました。

 ――ドイツにはどんな政党があるのでしょうか。

 まずはメルケル氏も所属する中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)です。CDUとCSUは姉妹政党で、CSUは南部バイエルン州でのみ活動し、CDUはそれ以外の州で活動しています。連邦議会では共同の会派を結成していて、選挙にあたっては共同で選挙公約をつくり、共通の首相候補を立てています。1949年のドイツ連邦共和国(統一前は西ドイツ)の建国以来、与党の期間が一番長く、ドイツの首相8人のうち5人を輩出しました。緩やかな中道保守で、極右に近い人もいれば、同性婚も認めるべきだと考えるリベラルに近い人もいます。

 ――今回はそのCDU・CSUが議席を大きく減らしました。なぜでしょうか。

 得票率は24・1%で、3割…

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