読み書きできず大人に 妻は夫を受け入れた 落語になったラブレター

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篠塚健一
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 読み書きのできなかった夫が、夜間中学で学び、最愛の妻へラブレターをつづった。この秋、2人の軌跡が落語になる。題して「生きた先に」――。

 奈良市に住む西畑保さん(85)は、小学2年でいじめに遭って不登校になった。家業の炭焼きを手伝いながら大きくなり、12歳で働きに出る。

 勤め先の食堂では、電話におびえる日々だった。出前の注文を受けても、メモが取れない。そのたびに店の人に怒鳴られた。「読み書きが出来ないと、人間として認めてもらえないんだと思った。代わりに書いてくれる従業員もいましたが、電話が鳴るとわざと離れていく人もいて、みじめで店を辞めたんです」

 職を転々として、30代でようやく事情を理解してくれるすし店に巡り合った。

 妻の皎子(きょうこ)さんと出会ったのは35歳のころ。お見合いの席で一目ぼれした。新婚旅行先でホテルにチェックインするときは「ちょっとトイレに行ってくる」。読み書きのできないことをひたすら隠していたが、半年ほどでバレた。自分の名前すら書けないことを。離婚を覚悟したが、皎子さんの口から出たのは意外な言葉だった。

 「つらかったやろ。一緒にが…

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