ぎょろ目のかわいいあなたは めったに会えない「生きる恐竜」

石倉徹也
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 黒褐色の体色に、ぎょろっとした目。世界自然遺産に登録された沖縄本島北部、やんばるの森などに生息する「クロイワトカゲモドキ」は、その姿から「生きる恐竜」と言われることもある。

 トカゲのように見えるが、広い意味でのヤモリの仲間だ。特徴は、他のヤモリと違ってまぶたがあり、壁に張り付くために必要な手足の裏の吸盤がないところ。原始的な特徴を残すため、進化の研究でも重要な存在だ。沖縄県天然記念物で、絶滅危惧種でもある。

 自然環境保全のために活動する一般財団法人「自然環境研究センター」(東京)研究員、大田和朋紀さん(28)が撮影したのは、夜のやんばるの林道でのこと。敵と思ったのか、全長15センチほどの体をじっとさせていたそうだ。「古代の雰囲気がありながら、目元がかわいいのが魅力です」

 獣医師でもある大田和さんによると、日本には6種類のトカゲモドキが生息し、うち沖縄に5種類、鹿児島に1種類。それぞれ島や地域ごとに色や形が微妙に異なる。大田和さんは、渡嘉敷(とかしき)島にいる希少種「ケラマトカゲモドキ」も撮影できた。

 夜行性のため出会うのは簡単ではない。昼間は岩陰などで休んでいるため、「生態も分かっていないことが多い」と大田和さん。那覇市など本島南部の都市部付近にも生息するが、沖縄の人でも見たことがない人は多いというから驚きだ。

 そのため、小さな林や石垣などが開発され、生息地が失われてしまうことも。大田和さんは「自然遺産の登録をきっかけに、街の近くにも身近な希少種がいることを知ってほしい」と話す。

 さらに、最近問題になっているのは、ペットを目的とした密猟だ。取引で高額の値がつくこともあり、違法な捕獲や輸出が後を絶たない。捕獲や販売、輸出は国内法で原則禁止だが、さらに今年、ワシントン条約によって、国外に出た後の多国間での取引も規制の対象になり、保護が強化された。対象になったのは6種類のトカゲモドキと、イモリのイボイモリ。

 大田和さんは「夜間ツアーなどで、幸運に発見できても、触れるのは厳禁。そっと見守りましょう」と話している。石倉徹也