浜島航路、72年の歴史に幕 志摩・英虞湾の生活の足、過疎化で廃止

臼井昭仁
【動画】三重県志摩市で72年にわたって運航していた定期航路が9月に廃止されることになった。過疎に伴う少子高齢化に加え、唯一の需要だった観光客がコロナで激減したのが理由だ=臼井昭仁撮影
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 三重県志摩市の英虞湾で72年にわたって運航されてきた浜島航路が9月30日、廃止された。最終便の後、同市浜島町の住民たちが「感謝の集い」を開き、地域の足として長年働いてきた労をねぎらった。

 当初、船乗り場で予定していた集いは台風16号が接近しているため、観光施設「海ほおずき」内であった。コロナ禍もあり、出席は地元住民や橋爪政吉市長ら約20人にとどめた。橋爪市長は「このような集いが催されたのは地域の皆さんに愛されたからこそ。72年間ありがとう」とあいさつ。浜島地区自治会連合会長の森安千代さん(74)は、運航会社の志摩マリンレジャーの矢尾弘社長へ花束と感謝状を贈った。この後、船乗り場へ移動。「蛍の光」が流れる中、定期船おおさきの出港を見送った。

 高校時代に通学で利用したという森さんは「残念だが利用者がほとんどいなくなっては仕方がない。色々な思い出は引き継がれるよう願っている」と廃止を惜しんだ。

 浜島航路は1949年に開設され、賢島―御座―浜島を結んだ。道路網の発達や過疎化のため徐々に利用者は減り、2001年度には約1万5千人、19年度には2100人に。20年度はコロナ禍にも見舞われ、1千人にまで落ち込んだ。運航会社へは市の補助金もあったが、赤字が膨らみ、「社会的使命は終えた」として廃止を決め、3月に発表した。今年度は、記念で乗る人が増えたため9月29日までで計820人と昨年同期比の約2倍の利用者がいた。(臼井昭仁)