旧横浜市庁舎、事業者と契約 「たたき売り」批判に市長は妥当性強調

武井宏之
[PR]

 旧横浜市庁舎街区(中区)の再開発をめぐり、横浜市は9月30日、三井不動産を代表とする8社の企業グループに建物を売却し、土地を貸し付ける契約を結んだ。売却価格や貸付料が「安すぎる」などの声が上がっているが、山中竹春市長は価格算定の妥当性を確認した結果、「決定やプロセスに瑕疵(かし)はない」と判断した。

 この日が契約を結ぶ期限だった。市は行政棟など5棟を約7700万円で売却し、土地(約1万6千平方メートル)は77年の定期借地で貸し付ける。貸付料は年約2億1千万円。

 売却価格や貸付料をめぐっては「たたき売りだ」などの批判が上がり、市民団体などが契約差し止めを求める裁判を起こしている。8月末に就任した山中市長は「価格算定の妥当性を確認する」としていた。

 この日の記者会見で山中市長は確認結果を公表。市の財産評価審議会の答申に基づく建物価格の妥当性について、当時不動産鑑定した2社とは別の2社に検討を依頼。多額を投じた耐震補強工事や建物の歴史的価値を考え合わせても、築約60年の建物に「経済価値は認められない」などと結論づけた。

 貸付料は確認対象としなかったが、山中市長は「地区の活性化のために土地利用に様々な制限をかけている。制限がない場合に比べて安くなることは当然考えられる」と述べ、価格は妥当だとの見方を示した。

 旧市庁舎は1959年に完成。建築家の村野藤吾が設計し、戦後日本を代表する近代建築として評価される。市は2019年、「国際的な産学連携」「観光・集客」の二つを条件に再開発を公募。三井不動産などのグループが事業予定者に選ばれ、行政棟は星野リゾートの子会社がホテルとして運営する。応募された3案のうち、現在地で保存活用する唯一の提案だった。武井宏之