デジタル庁発足、いばらの1カ月 目立ったゴタゴタ 旗振り役も退陣

平井恵美、中島嘉克
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 中央省庁の「縦割り打破」の象徴として、菅義偉首相の肝いりで9月1日に発足したデジタル庁。ただ、この1カ月で菅氏の退陣が決まり、官僚の過剰接待が発覚するなど違った形で注目を集めた。今後、日本のデジタル化の遅れを取り戻す司令塔としての期待に応えられるかは、まだ未知数だ。

 デジ庁の役割はマイナンバー制度の活用推進や自治体システムの標準化にとどまらず、デジタル人材の育成やテレワークの推進なども含む。発足後の1カ月は閣僚会議や有識者会議を相次いで発足させるなど、まず体制を整えた形だ。

 ただ、発足直後には事務方トップの石倉洋子・デジタル監が自身の公式ウェブサイトで、素材サイトの画像を無断転載していたことが物議を醸した。9月下旬には、事務方ナンバー2が庁の発足前のNTTからの過剰接待で懲戒処分を受け、同席した平井卓也デジタル相による費用の支払いが会食から半年以上後だったことも非難を浴びた。

 9月29日にあった自民党の総裁選では「デジタル田園都市国家構想」を掲げる岸田文雄氏が当選。テレワークの推進などで東京一極集中を緩和し、地方を活性化する絵図を描く。近く首相に就任するが、デジ庁は「庁の仕事にブレーキがかかることはないだろう」(幹部)とみる。ただ、その後には衆院選も控え、政策の推進は政権の行方にも左右される。

 デジ庁に与えられた課題は国や自治体の20年来の課題で、一筋縄ではいかないものばかりだ。マイナンバーカードと免許証の一体化も、システムの統合に時間がかかると渋る警察庁に菅氏が直接指示を出して前倒しの検討をさせた。今後もスピード感を持って施策を進められるかは、デジ庁の求心力次第だ。デジ庁幹部は「今はまだ枠組みができたところで、実際に動かすのはこれからだ」と話す。(平井恵美、中島嘉克)