日本の踊り「高い水準見て」 ダンサー・振付家の小林十市が意欲作

松沢奈々子
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 【神奈川】3年に1度のダンスフェスティバル「Dance Dance Dance @YOKOHAMA2021」が、17日まで横浜市内各地で開かれている。ディレクターを務めるのは、世界的に活躍するダンサーで振付家の小林十市(52)。「ダンスって何だ? 舞台って何だ? 自分はなぜ踊るのか?」。コロナ禍で自問し、今こそ見せたい企画を追求した。横浜から「日本のダンスの現在地を発信する」という。

 バレエからコンテンポラリー、チア、盆踊りとあらゆるジャンルのダンスが集結する一大イベントは今年で4回目。8月末に開幕し、緊急事態宣言の延長で一部が中止や延期になるなか、プロダンサーやダンスに取り組む市民らによるプログラムが実施される。

 コロナ禍のもとでの開催実現に向け、小林はこれまで主流だった海外アーティストの招聘(しょうへい)を断念。代わりに日本の踊り手やカンパニーの垣根を越えたオリジナル公演を打ち出した。世界的振付家の名作に日本人ダンサーが挑む意欲作や創作落語とバレエ「ジゼル」のコラボ、自身を含む50代のダンサーだけの舞台……。創意工夫をこらした、今ならではの企画だ。

 その集大成となるのが、16、17の両日にフィナーレを飾る「A JOURNEY ~記憶の中の記憶へ」だ。新潟が拠点の舞踊団「Noism Company Niigata」(ノイズム)を率いる舞踊家・金森穣に振り付けを依頼。ともに20世紀を代表するフランスの振付家、故モーリス・ベジャールの薫陶を受けたふたりの初共演作品で横浜と新潟、日仏を交差し、過去から未来を紡ぐ新たな舞踊表現に挑む。「特に意識はしてないが、僕の手の使い方や穣君の演出の仕方に、ベジャールさんらしさがにじむものになるのかな」

 活動拠点の仏でロックダウンも経験した小林。「僕らは踊る場所がないと生きていけない。国から補助金や生活の支援をしてもらい、食べつないだ」と振り返る。8月の帰国時には、「緊急事態」に対する日仏の圧倒的な意識の違いに戸惑った。「ぜひ劇場に来てと胸張って言えないもどかしさはずっとある」という。

 それでも、この祭典が踊る楽しさや鑑賞する喜びを堪能できる場にと願う。「日本人だけでもこれだけできますよ、という水準の高さを見てほしい。ダンスを通して文化をやりとりできる、グローバル化の出発点になると思う」

 小林とノイズムの公演は16日午後5時、17日午後4時から、KAAT神奈川芸術劇場で。一般6千円、高校生以下1千円など。問い合わせはチケットかながわ(0570・015・415、午前10時~午後6時)へ。公式サイト(https://dance-yokohama.jp/別ウインドウで開きます)では、その他のプログラムも紹介している。(松沢奈々子)