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刺激多い環境のマウス、脳梗塞で死ぬ細胞が半減 阪大など

矢田文
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 刺激の多い環境で過ごすと脳梗塞(こうそく)を発症しても軽症ですむかもしれない。こんな研究結果を大阪大学の坪井昭夫特任教授らの研究グループが、マウスによる実験で明らかにし、発表した。人の脳梗塞の予防や新たな治療法開発につながる可能性があるという。

 脳梗塞は、血のかたまりによって脳の血管が詰まり、血液が届かなくなった神経細胞が死んでしまう病気だ。細胞死が起きた部位が担っていた感覚や機能が失われることがある。再発もしやすい。

 リハビリを積極的にしている患者は脳梗塞が再発しにくい傾向があることから、チームはおもちゃや運動具などが置かれた刺激の多い環境で過ごしたマウスが脳梗塞を発症するとどうなるのかを調べた。

 すると、刺激の多い環境で過ごしたマウスは、そうでないマウスに比べて、細胞死している面積が半分以下だった。刺激のある環境で過ごしたマウスの脳には、Gemという遺伝子が多く発現しており、脳梗塞発症後の細胞死の抑制に働いていることがわかった。

 ヒトのiPS細胞を培養してつくったミニ臓器「オルガノイド」脳を使った実験でも、脳梗塞が発生したときと同様の状態にすると、Gem遺伝子の発現が促進された。人のGem遺伝子もマウスと同様の働きをしている可能性が高いという。

 人の脳梗塞の治療法は、血のかたまりを溶かす薬を服用し、血液の流れを回復させる血栓溶解療法が主流。ただ、血液がさらさらになるので出血傾向のある患者さんには用いることができないなどの課題もある。

 坪井特任教授は「Gem遺伝子という新たな遺伝子の発見によって、これまでとは異なるアプローチの治療法開発につながる可能性がある研究成果となった」と説明する。また、脳梗塞への予防として「新しいことに挑戦したり、五感をつかったりして刺激を感じることが大事」と話す。

 研究は米国科学アカデミー紀要(https://doi.org/10.1073/pnas.2018850118別ウインドウで開きます)に掲載された。(矢田文)