「不安で寝られなかった」慶応主将 早慶戦で昨秋の雪辱を果たして連覇

編集委員・安藤嘉浩
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 (第7週・神宮)

 東京六大学野球の秋季リーグは31日、第7週の2回戦が神宮球場であり、慶大が早大と3―3で引き分け、2季連続39度目の優勝を決めた。両校が6・5ポイント(勝利1、引き分け0・5)で並んだが、勝率で慶大(8割)が早大(7割1分4厘)を上回った。試合は早大が3点を先行したが、慶大が七回に追いついた。早大の今井脩斗(4年、早大本庄)が打率4割7分1厘、3本塁打、14打点で、戦後15人目の三冠王に輝いた。

 同点で迎えた八回の守備、引き分けでも優勝の慶大・堀井哲也監督が2死一塁でベンチを出た。主将で捕手の福井章吾に歩み寄る。

 昨秋の早大戦、九回の投手交代直後に逆転2ランを浴び、優勝をさらわれた。それでも、2人は橋本達弥への継投を選択した。

 一、二塁となって左打席には蛭間拓也。昨年、逆転弾を打たれた相手だ。

 カウント1―1から、福井はフォークのサインを出した。ワンバウンドの暴投で一、三塁になっても、同じ球を要求し続けた。「蛭間君を抑えるにはこれしかない。3球続けました」

 空振り、空振り。三振でピンチを切り抜けた。

 慶大は今春、圧倒的な強さで優勝を決め、全日本大学選手権も制した。それでも福井は早大戦を前にかつてないほど緊張した。「去年の秋と同じ状況。いやでもフラッシュバックした」。初戦を落とした前日は「不安で寝られなかった」という。大阪桐蔭高で主将を務めた時にも経験しなかった重圧だったという。歓喜の瞬間を迎えると、堀井監督とともに感極まった。

 試合後の会見。「昨年の例もあるんで」と堀井監督が笑うと、福井が「笑えませんね」と突っ込んだ。「春と秋と優勝し、私もようやくジョークを言えるようになりました」と監督。晴れやかな表情が並んでいた。(編集委員・安藤嘉浩