米経済対策法案は難航 政府閉鎖は回避、債務上限問題は先送り

ワシントン=青山直篤、大島隆
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 米議会は2021会計年度の年度末となる9月30日、12月3日までの暫定予算法案を可決した。与野党の対立で連邦政府が一時閉鎖される事態は回避された。ただ、30日中に採決するはずだった総額1兆ドル(約111兆円)規模のインフラ投資法案は与党民主党内の対立で持ち越され、巨額の財政出動を通じて格差是正を目指すバイデン政権は正念場を迎えている。

 8月に上院が超党派で可決したインフラ投資法案について、ペロシ下院議長は30日に下院でも採決すると言明していたが、与党内をまとめきれなかった。ペロシ氏は同日夜に議員への書簡で「下院、上院、ホワイトハウスで合意に至る議論は続く」と伝え、次の期限は示さなかった。政府閉鎖は避けられたものの、バイデン政権が最優先課題に掲げる経済対策法案をめぐり、民主党内の亀裂が浮き彫りになった。

 勢いを増す民主党の左派は、インフラ投資法案とあわせ、子育て支援などの給付を柱とする3・5兆ドル(約388兆円)規模の社会福祉投資法案を成立させることを要求。しかし、与野党の議席数が伯仲する上院では、民主党議員が1人でも造反すれば法案は通らない。民主党穏健派のマンチン上院議員は「1・5兆ドル」以下への大幅減額を求めている。

 二つの大規模な経済対策法案はバイデン氏にとって目玉政策なだけに、バイデン氏はこの数日間、出張を取りやめてワシントンにとどまり、左派・穏健派双方の議員への説得を続けてきた。しかし、与党内の対立で法案が成立しない事態が長引けば、政権運営に大きな打撃となる。

 また、法定上限が設けられている米連邦政府の債務をめぐり、議会が上限の適用停止か引き上げのための法案を10月18日までに成立させなければ、債務不履行に陥り、市場や家計に大混乱をもたらす恐れがある。9月末までの解決を模索していたこの問題も党派対立で先送りになった。イエレン財務長官は9月30日の下院公聴会で、債務不履行に陥れば「米経済や個々の家族に壊滅的な打撃がもたらされる」と警告した。(ワシントン=青山直篤、大島隆