覚えていますか?「うちわ会食」 配れなかった32万本は姿を変えて

新型コロナウイルス

武田遼
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 新型コロナ感染対策として、兵庫県が4月、突然提唱した「うちわ会食」。口元を覆って会食中の飛沫(ひまつ)感染を防いで欲しいと、うちわ32万本を飲食店に配る計画だった。効果への疑問や無駄遣い批判が殺到し、県は5日後に撤回したが、うちわは形を変えて飲食店に配られている。

 「フェースシールドがOKなら、うちわや扇子もOKのはず」。感染の第4波のさなかだった4月9日、井戸敏三知事(当時)は記者会見で、まん延防止等重点措置の対象となっていた神戸、芦屋、西宮、尼崎4市の飲食店1万6千店にうちわを20本ずつ配ると発表した。製作費用は約700万円。

 配布対象の一つ神戸市は、すぐに反発。その効果を疑問視し、「かえって危険」と配布中止を県に申し入れた。県民らから「税金の無駄遣い」などとの声も180件以上寄せられ、井戸知事は14日に「行き過ぎだった」と撤回した。

 ただ、県は撤回前日の13日、うちわの発注契約を県内企業と結んでいた。

 結局、できあがったのは「箸やコップは使いまわさず、一人ひとりで」などと記された2種類のリーフレット計28万枚。県が適切な感染対策をとっていると認める飲食店への啓発用で、すでに約8500店に10枚ずつ配った。

 うちわには、もともと、感染対策を呼びかける啓発グッズとしての役割もあったと県の担当者は説明する。ただ、口元を覆うためでないなら、啓発グッズとして、うちわが適切かどうか――。そう考えると別の形に落ち着いた、と県幹部は取材に明かす。

 県によると、発注先企業とは、当初の4分の1以下となる約160万円での契約変更で合意した。違約金は求められなかったという。うちわ会食は撤回となったが、「飲食店への何らかの啓発は必要と考えた」と説明している。(武田遼)

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