水俣描くジョニー・デップの誇り「テイクだけでなくギブしなければ」

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構成=編集委員・石飛徳樹
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 アメリカのスター俳優ジョニー・デップが製作・主演した「MINAMATA―ミナマタ―」が封切られた。「公式確認」から65年が経ち、若い世代に水俣病の現実を知る機会になるとの評価がある一方で、地元では「正直なところ、そっとしておいてほしい」という声もある。主人公の写真家ユージン・スミスを演じたデップやアンドリュー・レビタス監督に、「描かれる側」の思いをどう考えるのかを聞いた。

拒む気持ちは絶対に描かねばと

 ――舞台となる熊本県水俣市では今も病に苦しむ人が暮らす一方、原因企業チッソの子会社が稼働しています。市民の中には「蒸し返されたくない」との声があります

 レビタス監督「まさにそこを描きたかったんです。一番恐ろしいのは差別です。周囲から受ける差別と、それによる孤立感が、どれだけ被害者たちを苦しめてきたことでしょう」

 ――映画の中で、水俣を訪れたスミスは、患者の両親にやんわりと撮影を拒まれます

 監督「スミスがカメラを向けると、顔を背ける入院患者も登場させました。こうした人たちの気持ちは絶対に描かねばならないと考えていました」

【プレミアムA】MINAMATA ユージン・スミスの伝言

水俣病と水俣に生きる人々を撮り、世界に伝えた米国の写真家ユージン・スミス。彼の写真とまなざしは、現代もなお終わらない受難を照らしている。

 ――現地で患者や家族たちと接するうち、スミスは自分に写真家の傲慢(ごうまん)があったことに気づいていく。彼は最後に、集会にやって来た人々の前で深く頭を下げ「最大限の配慮と敬意を持って撮ります。だから協力して下さい」と訴えます。この言葉は「MINAMATA」を製作するにあたっての監督自身のお気持ちだったのでは?

 監督「その通りです。文献を読み、地元の人々や専門家に話を聞いて、事の本質を正確に捉えようと努力をしました。とりわけ日本人のキャストたちが、映画のトーンが間違った方向にいかないよう導いてくれた。これは大勢の人たちが一緒になって作った映画なんです」

神の仕業でなく人間がやったという事実

 ジョニー・デップ「水俣の核…

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MINAMATA

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