沖縄・宮古島の前市長が無罪を主張 陸自配備めぐる汚職事件

光墨祥吾
[PR]

 沖縄県宮古島市への陸上自衛隊配備をめぐる汚職事件で、業者から現金600万円を受け取ったとして収賄罪に問われた前市長、下地敏彦被告(75)の初公判が1日、那覇地裁(小野裕信裁判長)であった。下地被告は現金の受領は認めたが「政治資金として渡されたもので、賄賂として受け取ったものではない」と述べ、無罪を主張した。

 起訴状によると、宮古島市長だった下地被告は、陸自配備計画の受け入れを表明した謝礼として2018年5月、「千代田カントリークラブ(CC)」の役員だった下地藤康被告(65)=贈賄罪で有罪判決=から現金600万円を受け取ったとされる。千代田CC所有の土地は駐屯地用地に決まり、国に売却された。

 検察側は冒頭陳述で、下地被告には自衛隊施設の受け入れの判断をする職務上の権限があった、と述べた。14年末ごろから藤康被告が市長室を訪ね、「必ずお礼はします」と言って陸自受け入れの表明を繰り返し求めていたと指摘。下地被告が防衛省に「千代田CCは全域を取得してほしい」などと要望し、16年に市議会で受け入れを表明したと経緯を説明した。

 そのうえで、下地被告が出張中の18年5月に東京都内で藤康被告から「ありがとうございました」などと言われて現金の入った紙袋を受け取った、と主張した。

 一方、弁護側は自衛隊の用地取得は、防衛省と土地所有者の契約で、前市長は候補地の決定や売買の権限はないと主張。社会状況や市民の受け止めなどの意見を述べたに過ぎず、「職務に関し金員を受領したとは認められない。賄賂性の認識もない」などと述べた。

 また、弁護側は藤康被告が本件以外にも17~20年の3回、計425万円を下地被告に渡していたことを明らかにした。いずれも起訴はされておらず、弁護側は、今回の600万円のみが職務の対価という合理的理由はないなどと主張した。(光墨祥吾)