古民家ジャズ 音楽家集い吉野に活気

福田純也
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 奈良県吉野町北部の古民家に1年前オープンしたジャズ喫茶が、人口減で空き家が増える地域を活気づけている。ニューヨークで活動したジャズドラマーがその雰囲気を気に入り、30日に無料演奏会を開く。11月20日には目標だった音楽フェスが地元住民の協力で上市地区で実現することになった。

 ジャズ喫茶「フクバタケ」は同町平尾の旧伊勢街道沿いにある築約100年の元商家。2階建てで、離れや納屋もある。ジャズピアニストで作曲家の柴田コウメイ(本名・光明)さん(67)と妻友紀さん(49)は昨春、100万円で売り出されていた空き家を購入し、大阪から移住した。1階をコンサートスペースに、離れを音楽教室にして9月に店開きした。

 柴田さんは京都外国語大卒業後に渡米し、バークリー音楽大を出てニューヨークなどで約10年間活動。即興性、リズム感あふれる官能的なサウンドで帰国後は大阪・心斎橋阿倍野を拠点に人気を博した。ジャズスクール「SPOONFUL MUSIC」も営み、ピアノやボーカルを指導したのはプロ・アマを含め2千人を超すという。

 観光で訪れた奈良で、ピアノのいすにヒノキの板を試したらその感触と香りが気に入った。吉野を晩年の活動拠点に選んだ。コンサートはこの1年で6回開き、指導も続けている。

 柴田さんの古民家での活動を知り、共感したのはニューヨークで5年間活動したドラマーで作曲家の永山洋輔さん(35)。五條市で幼少期から高校まで過ごし、東京や横浜で活動後、ニューヨークに渡った。この5月に帰国し、関西に活動の場を移すことになった。

 ニューヨークで7曲収録したデビューアルバム「Start」を今年発売。その記念演奏の場を柴田さんに頼んで借りることになった。「最先端のニューヨークジャズを古民家でコラボで奏でる面白さを感じた。ジャズの楽しさを地元の人に知ってもらうために無料にさせていただきました」と話した。

 開演は午後1時半から。先着30人だが空きがわずかある。申し込みはフクバタケ(080・4249・7618)。

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 音楽フェスは「第1回吉野♪音♪街道」。

 ジャズ好きの住民らと実行委員会を結成。呼びかけた柴田さんが委員長を務める。「まさか1年でフェスが実現しようとは」。会場探しに奔走し、アイデアを次々と寄せる地元の熱意に驚く。

 町中心部・上市地区の旧伊勢街道沿いにある丸ビルや三奇楼、結ほんまち屋敷など、再生された古民家を中心に6会場が昼前から夕方にかけてコンサート会場となる。多彩なフードスペースも用意する。来場客に旧街道の雰囲気を味わい、空き家の利活用に関心を払ってもらう期待もある。

 プロ11人、アマ30組が集い各会場で演奏予定。招待出演者はストリートミュージシャンの草分けとされるサックスプレーヤーの三四朗、ソプラノ歌手の高野久美子、元NHKうたのおねえさんの田中あつ子、関西トップクラスのコンテンポラリーギタリストnea(ネア)ら。公募の一般バンドなどが加わる。

 柴田さんは「吉野に来て自由になってジャズへの熱い心だけで話したら地元の人たちが助けてくれ、私らはそれに乗っかっているだけ。東京や大阪ならこんな音楽フェスは到底無理でしょう」と語った。

 チケットは10月20日から前売りする。1日パスポートが1千円で500枚。メイン会場の丸ビルのファイナルステージはさらに2千円必要。イベントの公式サイト(https://yoshino-music-street.com別ウインドウで開きます)で。(福田純也)